板前が作る本格料理が楽しめる“ドライブイン”
●長沢ガーデン(山口県山口市)
泊まれるレトロなドライブイン。東の王が公楽園なら、西の王は山口県にある長沢ガーデンだ。
メインであるレストランは板前さんが作る本格派で、どれを注文しても確実にうまい。宿泊棟は本館と別館があり、レトロ好きのツウには別館がオススメ。
別館へは舞台裏のような狭い通路や真っ暗な宴会場の脇を通り、通っていいのかためらうほどの調理場を通過してようやくたどり着く。心もとない鍵で部屋に入ると、6畳の和室にエアコン、テレビ、冷蔵庫と三種の神器が揃い、言うことなし。窓際には広縁もあり、トラックの行き交う音をBGMに眠りつく。
長沢ガーデンを有名にしたのが、今も稼働するうどんとそばのレトロ自販機。このダシもまた館内のレストランで作っているため、文句なしにうまい。
さらに、長沢ガーデンの敷地内にはファストフード店、メリーランドが併設。昼時ともなると行列ができる人気店だ。名物はカレー。しかしここでおすすめなのが、オランダ生まれと書かれたスーパーフライポテト。別名ラスポテトとも呼ばれる、ジャガイモの粉末と水で成形したフライドポテトだ。外はサクサク、中はモチモチの独特の食感がクセになる。ラスポテトが日本で食べられるのは沖縄のA&Wほか数カ所しかない貴重なもの。長沢ガーデンに行ったらラスポテトを忘れてはならない。
●ホテル富貴(大阪府大阪市)
大阪、京橋駅から徒歩5分。ひっそりとした路地裏に佇むホテル富貴。
1977年創業以来変わらない姿でネオンが灯り続けている。ここはいわゆるラブホテルだが、おひとりさまでも宿泊可能で、最近は撮影のために訪れる者も多いようだ。その理由は外観はもちろん、内装、照明、家具、小物、壁紙、タイルまで、すべてのデザインにセンスが光ること。
さらに「中華」や「ローマ」など、部屋の内装のテーマがそのまま部屋の名前になっているのもおもしろい。予約した「江戸」の扉を開けると、和室の半分を占めるのが神殿風の高床式ベッドルーム。ベッドの周りには灯籠や石庭が囲み、厳かな雰囲気を演出している。
風呂の蛇口からはラドン泉。部屋によってはさまざまな仕掛けがあるのも遊び心を感じる。凝った作りは部屋だけでなく廊下まで。本革で作られた独特なデザインの壁、真っ赤でレトロ感の強い絨毯の床、豪華なシャンデリア、照明が吊り下がる螺旋階段……。
シャッターを押す手が止まらないほど見どころがありすぎる。週末ともなればほぼ満室。泊まってみたい部屋はホテル富貴のホームページから事前に部屋をチェックして予約すべし。