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「一度味を覚えたら、必ずまたやる」今年も子牛が“怪物ヒグマ”OSO18に背中を食われ…対策班リーダーが見た“異変”

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2023/07/14

genre : ライフ, 社会

note

 ところでヒグマは自分を追ってくるハンターの顔をちゃんと認識していると言われている。例えば赤石の顔をOSOは認識しているのだろうか? 

「あいつは絶対わかっていると思う」と赤石はあっさりと頷いた。

「オレが罠をかけてても、そばにいるんだもん。オレはそれをわかっているから罠を仕掛けるときは、他の人連れて行かないよ」

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ハンターの赤石正男氏

――ではくくり罠もバレている?

「いや、わかってないみたいだな。(昨年夏に逃げられたときも)罠そのものには何度も足を踏み込んでいるからな。まだバレてないと思う」

 当然のことながら昨年のような失敗がないよう、くくり罠は改良が重ねられている。あとはOSOが再び現れるのを待つだけだったが、その時は予想以上に早くやってきた。

OSOとの対決は最終局面へ

 このインタビューは2023年6月9日に行ったものだが、それから約2週間後、この原稿を書いている最中に藤本の言葉を裏付けるようなニュースが飛び込んできた。

 6月24日、標茶町上チャンベツの牧場で生後14ヵ月の乳牛の死骸が背中を食われた状態で見つかったのである。現場に残された足跡が16センチから18センチであったことから、犯人はOSOである可能性が高い。昨年7月以来となるOSOによる牛の襲撃は、〈400キロクラスのクマがゴロゴロといる〉中チャンベツを避けるようにその手前の地区で起きた。藤本の想定の範囲内である。OSOとの対決は、4年目にして、いよいよ最終局面に突入しつつある。