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ところでヒグマは自分を追ってくるハンターの顔をちゃんと認識していると言われている。例えば赤石の顔をOSOは認識しているのだろうか?
「あいつは絶対わかっていると思う」と赤石はあっさりと頷いた。
「オレが罠をかけてても、そばにいるんだもん。オレはそれをわかっているから罠を仕掛けるときは、他の人連れて行かないよ」
――ではくくり罠もバレている?
「いや、わかってないみたいだな。(昨年夏に逃げられたときも)罠そのものには何度も足を踏み込んでいるからな。まだバレてないと思う」
当然のことながら昨年のような失敗がないよう、くくり罠は改良が重ねられている。あとはOSOが再び現れるのを待つだけだったが、その時は予想以上に早くやってきた。
OSOとの対決は最終局面へ
このインタビューは2023年6月9日に行ったものだが、それから約2週間後、この原稿を書いている最中に藤本の言葉を裏付けるようなニュースが飛び込んできた。
6月24日、標茶町上チャンベツの牧場で生後14ヵ月の乳牛の死骸が背中を食われた状態で見つかったのである。現場に残された足跡が16センチから18センチであったことから、犯人はOSOである可能性が高い。昨年7月以来となるOSOによる牛の襲撃は、〈400キロクラスのクマがゴロゴロといる〉中チャンベツを避けるようにその手前の地区で起きた。藤本の想定の範囲内である。OSOとの対決は、4年目にして、いよいよ最終局面に突入しつつある。