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 騒ぎを聞きつけた従業員がホテルから出てきて、男性の首の傷をタオルでおさえて止血を試みてくれた。少し時間が経った頃、救急車が到着し、救急隊員が彼を確認する。

 切った場所が場所であったため、念のために救急搬送されることになった。

 その後、パトカーが6台やってきて、私も警察から事情を聴かれた。

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 警察官10名ほどが一列になり、彼が持っていたと思われるカッターの刃を探すが、1時間捜しても発見できない。どんな刃物で自分の首を切ったのか、徹底的に調べている様子である。その間、ラブホテルは出入り禁止。滞在しているお客も帰るに帰れない状態になったのはかわいそうだった。

浮気相手の目論見は見事に外れて…

 後日聞いたところでは、浮気相手の男性は対象者の奥さんの同僚で、病院で緊急手術を受けた結果、一命を取り留めたそうだ。死ねば慰謝料は請求できないだろうという目論見は見事に外れ、半年後、依頼者様から慰謝料請求裁判を起こされたという。

 結局、彼は自分を傷つけるだけ傷つけたうえで、慰謝料まで払うことになってしまったということである。命をかけて慰謝料を逃れようとしたが、神様はちゃんと見ていたということだろう。(#2に続く)