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坂田 そう。ロックやフォーク、サンバ、ジャズとかね。今の《うたのおにいさん、おねえさん》には、そういったさまざまな音楽ジャンルに対応できる、高いスキルが要求されていると思います。

©榎本麻美/文藝春秋

──坂田さんが『おかあさんといっしょ』に出演したのは1985年から1993年、昭和から平成にかけてですね。当時よりも今のほうが、番組の音楽ジャンルが広がった?

坂田 番組で歌う曲は複数のディレクターが選ぶんですが、今の選曲を見ると、僕の頃とは比較にならないほど、ジャンルが広がっています。

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 だから、今の《うたのおにいさん、おねえさん》たちは、その広いジャンルを歌いこなす素養がないと、ついていけない状況になっていると思う。

「うわぁ、今度はラップもやるのか!」

──『おかあさんといっしょ』で新しく扱うようになった音楽ジャンルには、どんなものがありますか?

坂田 たとえば、僕の時代は「ラップ」というジャンルの曲を歌うことは、全くなかったです。

 ところが、僕の次の《うたのおにいさん》、速水けんたろうくんのときに、『サラダでラップ』という曲が出てきたのね。「うわぁ、今度はラップもやるのか!」と思いながら、番組を見た記憶がありますよ。

©榎本麻美/文藝春秋

──もし、坂田さんが現役おにいさんの頃に『サラダでラップ』があったらどうですか? 

坂田 うーん、難しいかも。歌自体は練習すれば歌えるだろうけど、『おかあさんといっしょ』は必ず、おにいさんとおねえさんが踊るでしょう。その「決められた振り付けを踊りながら歌う」のが、難しいかな。

 だから、僕には無理だなと思う曲はだいぶ増えました。でもね、今の子どもたちが、番組でそういう歌を聴いて「歌いたい、踊ってみたい!」と思えば、それは成功だと思う。

時代に合わせて『おかあさんといっしょ』も変わる

──『おかあさんといっしょ』は、「子どもによいものを届ける、品行方正な番組」で、変化は少ないのかなと思っていました。でも、時代に合わせて変わっているんですね。

坂田 もちろん、よいものを届けるというポリシーはそのままだと思いますよ。でも『おかあさんといっしょ』はわりと、日本社会の潮流の変化を反映しているんです。

 子ども向けの番組は今もたくさんあるけれど、あの番組はスタジオに子どもたちが来るでしょう。

©榎本麻美/文藝春秋

──はい。あの子たちは子役とかじゃなく、普通の子どもなんですよね?