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NARUMI そうです。ESLにいた学生は、それぞれ生きてきた文化や環境、持っている価値観が違う。でも、それを否定的に捉えるのではなく「あなたの国はこうなんだ! 私の国ではね……」とお互いの“違い”を面白がるんです。

 世の中にはいろんな人がいて、いろんな価値観がある。英語が得意な人も、苦手な人もいる。違うことは悪いことじゃない。それに気づいてから、自分の主張を出せるようになりました。

短大時代のなるチャン(本人提供)

「学校で人目を気にせずディープキス」留学中に驚いたアメリカの恋愛事情

――著書には、アメリカの学校事情に驚くエピソードが多数掲載されていましたね。

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NARUMI 日本の高校にいた頃は、「文化祭で誰が誰に告白したらしい」とか、「デートってどんなことをするんだろう」とか、そんな話で盛り上がっていました。

 でも、私が通っていたデトロイトの学校では、人目を気にせずディープキスをしているカップルがいたり、学校内のトイレで性交渉した話で盛り上がっていたりして。「相手の顔がタイプじゃなかったから、見ないように便器に押し付けながら行為をした」とか、私のこれまで抱いていた「高校生らしい恋愛事情」が覆されるような話を日々聞いていました。

 また、生徒間での違法薬物の売買も日常的に行われていたり、銃を扱う人がいたり。「週末は何をして過ごしたの?」と質問して「ダウンタウンで拳銃を撃ってた」と返答されたときは、予想の斜め上をいく答えに言葉を失いましたね。

 

――それは、当時のデトロイトの治安が悪かったのも影響していますか?

NARUMI もちろん治安の悪さもありますが、誰と過ごすかによって、同じ学校に通っていても生活環境が大きく変わるんですよ。

 一般的に、日本では受験をして自分のレベルに合った高校に入るじゃないですか。でもアメリカでは、成績に関係なくその地域の高校に入学するのが一般的。だから、同じ高校の中に真面目で成績優秀な子もいれば、薬物に溺れている子もいる。どんなに過保護に育てても、「クールだから」と親が想像もしない友達グループとつるむ可能性だってあるんです。

 私の場合は、ホストファミリーがさまざまな問題を抱えていて後者の立場に見えたから、デトロイトの中でも暗い部分に目が行きやすかったのかもしれません。

――なるほど。では、アメリカの学校生活で「いいな」と思ったことは?