大きな故障をせず、レースと調教でどんどん強くなっていきました。大きい馬というのは脚元などの負担が大きいと言われていますが、走りのバランスが良く綺麗なフォームの馬だったので、局所的な負担などがなかったのかもしれませんね。ジョッキーからすると気持ちの良い背中の馬でした。
「彼と歩んだ2年間は、有意義な、良い日々でした」
引退後は毎年夏にスタリオンに会いに行っていますが、体型も崩れることなく相変わらずイケメンです。馬房から出てきて普通に歩いているだけでも雰囲気がありますね。
種牡馬としてもすごい活躍をしていますが、当時から走るだろうなと思っていました。血統的な裏付けもありますし、スピードもスタミナもありますから。今の活躍を見ても「ああ、やっぱりな」という感じです。
キタサンブラックは、競馬を知らない人でも知っているような名馬でした。自分が乗っていた2年間は「キタサンブラック中心の2年間」。生活にもハリが出ましたし、スターホースとして全部の王道レースに出てくるから乗っていて嬉しいなという気持ちもありました。
スター性もありましたし、いろいろな人から声をかけてもらいました。競馬以外のメディアからも注目される中、しっかり勝ち続けたのは立派です。王道をずっと走った、今の時代にはあまりいないような馬です。タフさがすごかったですし、天皇賞(春)をレコードで勝って天皇賞(秋)を土砂降りの中、勝つような馬はなかなか出てこないでしょう。
彼と歩んだ2年間は、有意義な、良い日々でした。