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「スタジオジブリでさえ北米では小規模公開の作品です…」それでも日本アニメ映画が海外で異常な興行収入を稼ぎ続けている“納得の理由”

「スタジオジブリでさえ北米では小規模公開の作品です…」それでも日本アニメ映画が海外で異常な興行収入を稼ぎ続けている“納得の理由”

2023/09/29
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 世界で盛り上がる日本アニメ映画だが、こちらから人気を待っているだけでは不十分なのである。日本から積極的にファンとのコミュニケーションを求めることが鍵となったのである。『すずめの戸締まり』の中国でのヒットには、そんな地道な努力もあるのだ。

『すずめの戸締まり』のヒットは中国だけに偏っているわけではない。中国を除いても、中国と同じ大きさの海外の売上が存在する。つまり中国なしでも、『すずめの戸締まり』には日本とほぼ同規模のマーケットが海外にある。

 韓国は『すずめの戸締まり』を支えた国のひとつだ。観客動員数は550万人超、人口当たりの計算では1115万人の日本より割合が高い。韓国も『雲の向こう、約束の場所』以来、全ての作品の公開時に新海誠監督が欠かさず訪れる国だ。

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今後の日本アニメ映画が開拓する国は……

 そうした点で、今後動向が注目されるのがインドである。映画興行は映像ビジネスのなかでハードルがとりわけ高いが、その中でもインドは難しい。インドは自身が映画大国であり、自国映画が強く、ハリウッド映画ですら攻略が大変とされる。

『すずめの戸締まり』の制作会社コミックス・ウェーブ・フィルムは、インドで現地の大手配給会社、国際交流基金と組んで自ら配給をした。この結果『すずめの戸締まり』は『鬼滅の刃』を上回り、インドで最もヒットした日本映画となった。前作『天気の子』に続き、本作でも公開に合わせて新海誠監督はインドを訪れて舞台挨拶に立ったことも大きい。興行収入はまだまだ少ないが、中国や韓国で起きたことが、今後インドでも起きるのかは気になるところだ。

 インドでの売上げは、他国に較べれば大きくないかもしれない。しかしチケット価格が他国より低く抑えられていることを考えれば、金額で見える以上の観客がそこにいる。さらに今後の経済成長を見通せば、未来の広がる国だ。日本アニメ映画の可能性は、このインドをはじめ東南アジア、ラテンアメリカ、中東といった地域でも芽生えている。今後はそれらの地域からビッグなニュースがまた生まれるかもしれない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。

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