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広いほどいいとは限らない

 もちろん、60㎡前後の物件と80㎡前後の物件が同じ価格、同じコスト負担であればそれは広い方がいいかもしれないが(まれに冷暖房効率・掃除の手間などから広い住戸を嫌う方もいる。特に今後ますます割合が増える高齢者世帯ではその傾向が顕著なことが多い)、そうではない場合、80㎡は60㎡に比べ20㎡(およそ6坪)分、代金を高く払うわけで、例えば坪あたり300万円のエリアであれば単純計算で1800万円以上も高くなる。

(1800万円を固定金利2%で35年ローンを組むと月返済額は5万9627円、返済総額は2504万円)

 1800万円(ローン返済額:月6万円近く)も余計に払って80㎡のマンションを買って、子どもが生まれてから10年くらいは子ども部屋を使わず、そろそろ必要かとなったときに何らかの理由で売却をしなければならなくなることもある。

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 しかし、使わなかった期間も、その面積分の管理費・修繕積立金の負担、固定資産税、光熱費等などのコストはかかっているのだ。

マンション購入は戦略的に

 60㎡のマンションであれば、80㎡に比べると専有面積が小さいため価格がその分低く、手頃感から買い手がつきやすく売りやすいことが多いのだが、件の1800万円が乗っている80㎡のマンションでは、売れるまでに時間がかかったり、結局損をしてしまうケースもある。

 これからの家の購入は、現時点や直近の未来だけではなく、人生を通して笑顔で過ごすために、ポイントを押さえて戦略的に考えるべきである。

 今回は60㎡という面積の守備範囲の広さにフォーカスしてお伝えしたが、60㎡のコストパフォーマンスや税制メリット、なぜ2001年以降完成の物件がおすすめであるのかなどについては機会があればまたお伝えしたい。

マンションを買うなら60㎡にしなさい

後藤 一仁

ダイヤモンド社

2019年2月28日 発売