「60㎡の2LDKにして大正解」
10年前の当初は「一生住むことを想定して」物件探しをしていたお二人だったが「この度、どうしても引越さなければならない事情が出来たので、売るのがよいか、貸すのがよいか、相談したい」とのことだった。
早速、売却した場合の想定価格と貸した場合の想定賃料を調べてみたところ、賃料はほぼ10年前と同じか少し高い程度だったが、売却想定価格は購入時より2000万円以上も高かった。実際に売却したらすぐに買い手が決まり、購入時3950万円だった物件が6250万円で売れたのだった。
お子様は10歳になって、初めて個室を用意したとのことだが、それまでは意外と個室はあまり使わなかったので、無理に3LDKを購入しようとして不便な場所に買わずに、結局利便性のよい場所の60㎡の2LDKにして大正解でしたとのことだった。
この加藤さん夫妻のように、大きく利益を得られて笑顔になった人もいれば、一方で価格が下落して、住宅ローン残高に満たず、売るに売れなくなって、助けを求めに見える人もいる。
そのようなケースは、郊外や駅から遠い80㎡以上の3LDKなどを購入したケースがほとんどである。
リスク回避の重要性
もしも資産性のない物件を購入してしまうと、ともすればその家に縛られ、住宅ローンの返済に追われるような人生になってしまうことがある。
今後の人口減少・少子高齢化が加速する日本で、新たに住宅を購入し、安心して暮らしていくためには、月々の固定費負担はできる限り抑え、「売れなかったり、貸せなかったりすることにより、その家に縛られてしまうリスク、住宅ローン破綻のリスク」を回避することが大切である。
では、都市部の都心・準都心だからといって、そのエリアであればどんなマンションでもよいのかというと、もちろんそのようなことはない。
なかには資産価値を保ちにくい、価格が下落するマンションも存在する。
一般的な収入・予算であっても「購入するなら少しでも資産価値が保てる物件を買いたい」なら、現時点では「あまり面積が広すぎず、あまり築年数が経ちすぎていない、利便性のよい立地のマンション」を奨める。
そもそも家を買っていいのか
私は東京を中心に35年間、不動産の購入・売却・賃貸・賃貸経営のサポート、コンサルティング、セミナーなどを行ってきて、これまでに2万組以上の対面個別相談を行い、6000件以上の取引にかかわってきたが、今までは不動産購入の相談時に次のような質問をよく受けていた。
「家を買うなら、一戸建てとマンションのどちらがいいですか?」
「今は買い時ですか?」
しかし、ここ数年増えている質問が2つある。
(1)そもそも今後、本当に家を買ってしまってもいいのでしょうか?
⇒家の購入そのものの是非を問う質問
(2)もし買うなら、どこに、どのような種類の家(物件)を買ったら(選んだら)、最も資産価値が保てる可能性が高いでしょうか?
⇒どうすれば生涯のお金を失わずに済むかを尋ねる質問