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 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」(国勢調査における世帯の類型)によれば、2020年時点で、「家族と一緒に住む世帯(「夫婦と子ども世帯」いわゆるファミリー世帯)」は約1395万世帯なのに対して、「一人暮らし世帯」が約2115万世帯、「夫婦のみ世帯」が約1116万世帯で、既に「一人暮らし世帯」と「夫婦のみ世帯」の合計数が「ファミリー世帯」数の2倍以上になっていて、「一人暮らし世帯」のみでも「ファミリー世帯」数を大幅に超えている。 

 ちなみに2015年時点では「ファミリー世帯」は約1429万世帯、「一人暮らし世帯」は約1842万世帯、「夫婦のみ世帯」は約1072万世帯であった。

 その当時においての2025年予測では「ファミリー世帯」が約1369万世帯、「一人暮らし世帯」は約1996万世帯、「夫婦のみ世帯」は約1120万世帯となっていた。

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 しかし実際には2020年の時点で「一人暮らし世帯」の数は当時の予測を早くも超えており、また、「夫婦のみ世帯」も予測に肉薄している。

これからの「家族構成の変化」

「ファミリー世帯」は75~80㎡以上の広さを必要とするかもしれないが、今後割合がどんどん増える「一人暮らし世帯」と「夫婦のみ世帯」は必ずしもその広さを必要とはしない。

 住宅で暮らす家族構成も今までのような「夫婦と子ども2人」の計4人が標準的な世帯とされていた時代から、生涯未婚率(50歳時で一度も結婚したことのない人の割合)や離婚率の上昇、平均寿命が延びたことで配偶者に先だたれたシニア数の増加などにより「一人暮らし世帯」が加速度的に増加している。「夫婦のみ世帯」、「一人親と子の世帯」と合わせて、2025年には6割を超え(67.1%)、2040年には7割を超える(70.1%)推計となっている。

 日本の「人口」は既に減少に転じているが、「世帯数」は今までの「夫婦と子ども2人」の世帯から「一人暮らし世帯」や「夫婦のみ世帯」へ移行しているため、現時点ではまだ減少していない。

 これから住宅を購入する人たちが35年の住宅ローンを組んだ場合、返済期間中に「ファミリー世帯」がどんどん減り「一人暮らし世帯」と「夫婦のみ世帯」が増えるということが予測されているので、20年後などに売却したり、貸したりする場面が訪れた際に少なからず影響を受けることが考えられる。あくまでも予測ではあるが、このような予測がされているということは押さえておきたいところだ。