中古車市場については、前述の通り今回のビッグモーター社だけでなく他の大手2社でも程度の差はあれ同じようなことを繰り返していた疑いは強くあります。今回の問題が非常に厄介なのは、起きている事件それもこれも、自動車業界全体が大変革の真っただ中にあるからです。
今後EV自動車が増えていき、車がすべてコネクテッドになっていく将来の日本の自動車移動(モビリティ)環境において、シェアライドからスマートシティまで「どのようにして、国民が安心して自動車に乗り、できる限り少ない事故で安全に、少ないエネルギー消費にしていくのか」という業界全体のグランドデザインをどう国土交通省が描くつもりなのかという長期的なビジョンが求められています。
ぶっちゃけ、中国製EVバスが大量に市中に走ったり、軽自動車がすべてガソリンから電池に置き換わり、自動運転技術が確立してすべての車がネットに繋がるぞといったとき、自動車業界、モビリティ行政はどうなるのか。依存する電力インフラからネットへの接続、自動車の所有に関する問題にいたるまで、さまざまな問題が予見不能な状態で議論が重ねられているのがいまです。
この自動車整備や車検制度もさることながら、耐用年数が過ぎたらゴミ同然となる電池を乗せたEVが無価値になって中古車市場に流れてくるところでどうやって環境整備をするつもりなのかという話になるわけですよ。
支持率回復のチャンスカード到来?
一昨年、日本自動車整備振興会連合会が提出した資料などを見ていても、たぶん過渡的な環境で法的整備や人材育成をどうしていきましょうかという手探りの状態ですので、ビッグモーター事件を機に、政府主導でも国交省でも構わないのでどーんと未来を見せて欲しいんですよね。
これらの課題は、いま何故か静かですが本来ならば岸田文雄政権が中心となって捌かなければならない問題のはずです。
本件こそ、国民生活の基盤に関わる問題であることは間違いございませんので、支持率回復のチャンスカード到来という発想で、どうか前のめりで岸田文雄さんにはご対応賜りたいと願う次第です。