イギリスのBBCやガーディアン、アメリカのニューヨーク・タイムズ、AP通信、さらには台湾、タイ、インドネシアなどアジア各国のニュースサイト、そしてブラジル……文字通り、世界中で報じられていた。
大きかったと思う存在
個人的に大きかったと思うのが、YouTuberたちの存在だ。
テレビでは伝えにくい問題でも、その人が「面白い!」「伝えるべきだ」と思ったことを、彼らはしっかりとニュースにしてくれる。ジャニーズ事務所への“忖度”とか、YouTuberたちには1ミリも関係ない。ほんの10年前だったら、こんなことはなかったかもしれない。今回は、このネット中心の社会がいい方に働いたと思う。
僕自身のSNSへの反応も大きかった。それまではジャニーズファンからは「ジャニーズを潰すのか!」みたいな批判が多かった。「売名」「噓つき」。そんな言葉を投げかけられることもあった。でも会見をしたことで、「勇気を出して話をしたカウアンを支えよう」という応援の声も非常に多く届くようになった。
もちろんこの問題については、いろんな見方があっていい。みんながみんな一方だけを応援するのは不自然だ。多くの人がこの問題を考えるきっかけとなったこと、それ自体が大きな進展だったと考えている。
ついに、山が動いたのだ。
ジュリー氏の謝罪会見
2023年5月14日夜、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長が、ジャニーさんの性加害問題について、本人が出演する動画と、説明文書を公開した。
BBCが3月にドキュメンタリーを放送して以来、ジュリーさんが世間に向かって見解を発表するのは、初めてのことだ。動画の中で、黒のスーツ、白いブラウスという、謝罪会見に出るときのような地味な格好で、ジュリーさんは頭を下げた。
「この度は、創業者ジャニー喜多川の性加害問題について世の中を大きくお騒がせしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。何よりもまず、被害を訴えられている方々に対して深く、深くお詫び申し上げます。そして関係者の方々、ファンの皆さまに大きな失望とご不安を与えてしまいましたこと、重ねてお詫び申し上げます」
ジュリーさんはこれまで公の場に姿を現したことはほとんどない。そのジュリーさんが、動画とはいえ、世間に顔を出して喋るのがとてもレアなことだというのは、僕にもわかった。