文春オンライン

「トークはほぼ敬語、いつもニコニコ…」35周年「B'z」稲葉浩志と松本孝弘が結成から今までずっと仲良くできたワケ

2023/08/03

genre : エンタメ, 芸能

note

松本と稲葉のトークはほぼ敬語

 そして1988年5月、松本と稲葉が音楽スタジオでThe Beatlesの「Let It Be」「Oh! Darling」をヴォーカルとギターだけで初セッション。ここから自然とデビューに向けて進んでいく。ちなみに、7月15日に放送されたWOWOW「B'z Live History Vol.3」では、彼らが当時を振り返りつつ「Oh! Darling」をセッションするという、「B'z LIVE-GYM Pleasure 2008 -GLORY DAYS-」のワンシーンが流れた。

 そこで、松本が稲葉を見ながらなんとも嬉しそうに「これが伝説の始まりですよ(ニコニコ)……」的なことを照れながら言っていたのがとても印象深かった。2人の笑顔は「ニコニコ」なのである。そしてトークがほぼ敬語。ドヤ!でも、オラオラでもない。これが本当にすてきで、「(曲だけ知っている人も)ぜひライブを観てほしい」というファンの気持ちがとても分かったワンシーンだった。

結成35周年のB'z(WOWOW公式サイトより)

古舘伊知郎の松本評「なんていい人なんだろう」

 デビュー当時に話を戻そう。デモテープを聴き、すでにピンときていた松本にしてみれば自然な流れだったろうが、稲葉はデビュー前の素人である。売れたからこそ「一緒にバンドをやろうと言われてない」とのんきに回想できるのだが、当時はあれよあれよと話が進み、戸惑ったのではなかろうか。それでもしっかり信頼関係をつなげ、稲葉のヴォーカルと作詞の才能を開花させていくあたり、松本のコミュニケーション能力はすごい。

ADVERTISEMENT

 この松本の性格について、伝説の音楽番組「夜のヒットスタジオ」で司会を担当していた古舘伊知郎が、自身のYouTubeチャンネル(「古舘伊知郎チャンネル」)で、

「俺がB'zで心に残っているのは、“なんて律儀で謙虚な2人組”って思ってましたから。何一つ、わがままな振る舞いゼロ」。

 そして、常に質問に答える窓口は松本孝弘だったとし、

「なんでも素直に質疑応答に答えてくれる。あまりにもスムーズな川の流れなんで、失礼だけど内容は覚えていない。ただ、なんていい人なんだろうという風の余韻だけが、皮膚感覚に、記憶にとどめている」

 と、なんとも風流な言い回しで、その人柄を絶賛している。