部活の髪型に影響を与えた「イメージ」とは
部活における「見た目」の規則は、全国大会の強豪校のイメージに影響されていると思います。昔は、野球、バレーボール、サッカー、バスケなどの強豪校は決まって全員坊主やおかっぱで、ハチマキを巻いていました。
それを見て、指導者が「強豪校に倣うことで、強くなれる」という考えになるのは理解できます。大勢の部活生を取りまとめるのは簡単ではなく、多感な学生たちには、「決まったルール」で縛る方が指導しやすいと言えます。
とりわけ「ヘアスタイル」は、その外見的な理由から、否応無しに判断材料になりやすいです。「見た目を気にして部活に集中できてない」という理由で、「はみ出すことは許さない」のです。
もちろん、外見にまつわるトラブルが起きないように「事前に取り締まっておきたい」という理由もあるでしょう。
スポーツマンシップと「見た目」は比例するのか?
ですが例えば、強豪校を真似して坊主やおかっぱにしたものの、結果が出ず“勝てなかった”学校の方が、むしろ大多数なはずです。ということは、必ずしも「強くなるために、坊主は効果がある」とは言い難い。
それでも「坊主は必要」と考えるのは、それをスポーツマンシップと混同しているからだと思います。「坊主の方がスポーツを真面目にやっているだろう」という先入観があるのではないでしょうか。
しかし、大リーグ・エンゼルスで活躍する大谷翔平選手も、高校時代は坊主でしたが、現在は刈り上げないショートヘアです。大谷選手の母校である花巻東高校では、2018年に監督が丸刈りの強制をやめると宣言しました。つまり髪型を縛ることや坊主にすることがスポーツマンシップに直結するわけではないということがわかります。
近代スポーツで「見た目」は、むしろ重要
昭和から人気スポーツだった野球などに反して、歴史の浅い近代スポーツやマイナースポーツでは、「見た目」が重要視されています。
例えばフィギュアスケートは、華やかな衣装や曲のイメージに沿ったメイクが重要とされています。他にもラグビーやスポーツクライミング、卓球やeスポーツに至るまで、お洒落さや「見た目」のエンタメ色を強くすることで、若い世代のプレーヤーも増え、次々にスターが生まれています。