ダンプ 基本的に暴力とか暴言も吐かなかったし、元々穏やかな人ではあるんだけど…。ただ、お酒を飲むと威勢がよくなっちゃうんだろうね。私が3歳の頃、父が家で友達を呼んで酒盛りをしたとき、自分が少しうるさかったらしく、真っ暗な押し入れに閉じ込められたのは覚えてる。今思えば、足でドアをボーンと蹴れば出られたんだけど、当時はそこでジッと耐えるしかなかった。
あと、父がすごく酔っぱらってコタツをバーンとひっくり返したことがあってさ。母が、レンジでご飯をチンしたんだけど、茶碗ごとチンしたから熱くて茶碗を持てなかったらしいんだよね。手で茶碗を持たず、卓に茶碗を置いたまま食べてたら父が気に食わなかったらしく、「手で茶碗を持って食べろ!」ってコタツをバーンとひっくり返したんだよ!そのまま母を殴ろうとしたけど殴れないから、代わりに窓ガラスをバーンって殴ったんだと思う。今みたいに頑丈なガラスじゃないから豪快に割れちゃって、腕に破片が刺さって血だらけになってた…。救急車を呼ぶ、呼ばないってなったけど、呼ばなければこのまま死ぬからいいんじゃないかって心底思ったね。結局近所の人が、騒ぎを聞きつけて通報したらしいけど。
――このまま死ねばいいと思うほど、憎悪が膨れ上がっていたのでしょうか?
ダンプ 働かないし帰って来ない。家に居ないのは嬉しいけど、お金を家に入れないからお母さんが可哀そうだって。父に、なんで働かないのか聞いたこともあるんだよ。そしたら「心臓が悪い」って言いだしてさ。家によくわからない大型の治療用機械みたいなものを運んできて、足にあててみたり、治療してる素振りを見せてたけど、今思えば全部嘘だと思う。
――在宅医療ということですか?
ダンプ お医者さんも来てないし、なんの機械だか知らないけど全部嘘だと思う。心臓が悪いって言いながら薬を飲むでもないし、体が悪いなら酒飲まないだろう。でも、病院の先生なのか誰に言われたのか知らないけど、心臓が弱いから40歳くらいで死ぬって言われたって言うんだよ。そうか、40まで我慢しようって思ってたら全然生きちゃって、結局87まで生きたんだよ。もっと早く死んでくれたら、自分たちの生活も穏やかだったかもしれないのに。
父の愛人宅に行くと自分と同じ名前の女の子がいた
――お父さまが家にいるときは、お話しすることはありましたか?