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ダンプ だんだん酒も飲まなくなってきたし、認知症の症状もでてきてさ。認知症といっても一人でお風呂も入れるし、トイレも平気で全然歩けたんだよ。でも、深夜2時とか3時に起きて窓とか戸を開けちゃって。外をウロウロ歩くことはなかったけど、玄関を開けっ放しにして物騒だし。どんどん体も弱ってきて、念のため病院で先生に診てもらったら、しばらく入院させた方がいいって言われてさ。退院後も家には戻さずに施設に入れることになった。

 その頃から、父とも喋るようになってきたね。

父を火葬すると棺からネジが…まさか…

――約45年間、お父様とお話しなかったそうですが、自然とお話しできるものでしたか?

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ダンプ 全然平気だね。憎しみは憎しみで消えないんだけど、昔のような嫌な感じだけじゃないというか。喋ると言っても簡単な会話程度だし、父も先が短いかもしれないから、つんつんしてもしょうがないし。自分のことだってわからなくなってきちゃうかもしれないから、「大丈夫?大丈夫?」って、それは優しい気持ちで接してあげたよね。「何か食べる?」って聞くと「俺はいつだってなんだって食べたいんだよ!」って元気なときは言ってたよ。だから、うちらが食べてまずいって思ったものを食べさせたときもあるし(笑)、あるときカレーパンを口に持ってって食べさせたら、「うめえうめえ」って食べてくれた。お見舞いには週何度か行っていて、あるとき、手を握ってあげたら泣いてたよ(笑)。

 まぁ、実際こっちから見ても可哀そうだなって思ったし…。

――可哀そう?

ダンプ 動き回るわけじゃないのに手足を縛ったり、亡くなって火葬した後に棺からネジがでてきたり。後から聞いたら、お棺でネジは使わないっていうんだよね。亡くなる前に違う病院でレントゲンを撮ったときに、黒い影が見えるって言われていてなんだろうと思ってたんだけど、火葬したらネジがでてきた。自分の部屋にネジが落ちてるなんてあり得ないし、掃除もしてる。認知症といってもネジを飲み込むほどじゃないし、歯がないから食べられない。そこに関しては今も謎だね。

――2019年8月7日にお亡くなりになりました。

ダンプ 誕生日が9月2日だから、もうちょっと頑張りなって言ってたんだけどね。もうちょっとだからね。明日は妹もくるからもうちょっと頑張りなねって言ったまま、次の日行ったら死んでたね。施設から死にそうだからすぐに来てください!って言われてすぐに駆け付けたけど、少し前に死んでただろう…!って。体が硬くなり始めていたからね。

撮影 杉山秀樹/文藝春秋