ダンプ 多少はね。向こうが喋りかけてくるから短い返事を返すだけ。そこから会話を広げようとは思わないし、自分から喋りかけることもない。たまに家族で食卓を囲んでも、私の隣に父が座るから顔を見なくて済むんだよ。そしたら父がずっとこっちを見てるの。「香(ダンプの本名)のこと見てるよ」って母に言われて、自分でもわかってたけどそのままだね。ただ、無視すると「なんで香は…」って母が後から父に文句言われるし、母にも「お願いだから喋ってあげて」と頼まれるから仕方なく返事だけ。
次第に、父も私が高校生くらいの頃から喋りかけなくなってきて、気づけば45年くらい1回も父と喋らなかった。
オンナも一人や二人じゃなかった。チョコチョコ代わっていた
――お父さまが家に居ないときは、よその女性の家に行かれていたのでしょうか?
ダンプ そうだね、女も一人や二人じゃなかったし、相手もチョコチョコ代わるからまたかぁって感じだったけど。覚えてるのは、自分が5、6歳の頃。母が、父が愛人と川崎に住んでるってどこかから聞いてきて、母と妹と私の3人で電車に乗って、川崎の愛人宅まで行ったことがあって。当時は自分も幼かったから、親戚の家とか親の友達の家に遊びに行ってるもんだと思ってたけど。
それで愛人のアパートを発見すると、当時3歳だった妹が先に階段をトントントントンって駆け上がって、愛人の部屋の前まで行っちゃったの。そのままドアをトントンって叩いたら父が出てきて「あれ、ひろたん(妹の名前)。一人で来たの?」って。3歳児が熊谷から一人で来られるわけないだろバカヤローっ!て感じだけど。ドアが開く頃には自分と母も傍に立ってて、部屋の奥には赤ちゃんが見えた。両親と愛人の3人で話し合いをしている横で、自分と妹は赤ちゃんと遊んでてさ。後から腹違いの妹だったって知るんだけど、その赤ちゃんの名前を自分と同じ「香」ってつけてるんだよ!信じられないよね。
――ダンプさんはいつ事実を知るのでしょうか。
ダンプ 高校を卒業してもっと後だったと思う。話を聞いてもそうか、って感じだったけど。その後も、家族でご飯を食べてるときに「あのとき、女と出てきたよね」とか「赤ちゃんと遊んだことがあるよね」って母と妹の3人で喋ってると、父が肩身を狭そうにしながら「俺の話はもういいよ…」って小さくなったりして。
――家族でご法度ではなかったんですね…?
ダンプ 全然。父も「会いたいなぁ」とか「元気かなぁ」ってボソッと言ってたし。母も「あの女の人は他の人と結婚して、たぶん今頃幸せになってると思うよ」とか、「私とさっさと離婚して、相手の家に行ってくれれば良かったのに」って普通に話してたよ。