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「当事者の会」反応を報じたのは…

「ジャニーズ性加害問題当事者の会」メンバーの様子(日本テレビ「news every.」8月4日より)

 また今回、日テレ、TBS、フジが国連の専門家の記者会見中に、控え室でその様子をモニターで見る「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の元タレントたち7人の様子を撮影して、国連側の発表を聞いている姿が放映された。7人は国連の記者会見の後で同じ場所で記者会見を開いているが、控え室での当事者の様子をニュース番組の中で入れているのかどうかを調べてみた。○は控え室での反応プラス当事者の記者会見を放映した番組。当事者の記者会見のみで控え室の映像がない場合は△にした。○は、より当事者(被害者)の側に寄り添ったニュースの編集の仕方だと言える。

 また、国連が会見の中で強調した「メディア」の責任について、伝えているのかどうかもチェックした。さらに番組キャスターらが自らの責任を含めて、思い入れをコメントしているのかどうかもチェックした。それらをまとめたのが【図2】だ。

【図2】ジャニーズ性加害問題について各局の報道内容の違い(筆者作成)

 比較してみると、日テレとTBS、フジ、NHKが放送時間とともに、被害者への“寄り添い”方では際立っている。8月4日の放送では、この4局がジャニーズ性加害問題の報道に熱心だったといえる。

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「外圧がない日本」見事なコメントを放った小川彩佳キャスター

 夜のニュースでは、この日は日テレ「news zero」の番組の顔である有働由美子キャスターは不在だった。このため、夜ニュースの中では一番長く放送したにもかかわらず、キャスターからのメッセージは伝わりにくい放送内容だった。テレ朝「報道ステーション」も同様に大越健介キャスターが不在で同様の印象だった。

 そうした中では、ニュース番組としてジャニーズ性加害問題で先鞭をつけたTBSの「news23」は小川彩佳キャスターのこの夜の締めコメントで「らしさ」を発揮した。

「国連が専門家を派遣してまで、性被害の当事者に聞き取りを行うというのは異例のことです。日本はよく『外圧がないと変わらない』いう言われ方をしますけれども、私たちメディアを含めて海外から指摘を受けるまで、このことに正面から向き合わなかったことの問題を、改めて痛切に感じています。私たち番組では引き続き、この問題をお伝えしてまいります」(小川彩佳キャスター)

小川彩佳キャスター(TBS「news23」8月4日より)

 今回も国連という機関が関わったことで初めて大きく扱う番組(フジテレビの「イット!」)が登場するなど、日本のメディアはまだまだ「外圧」がなければ動きにくい弱さがある。その点をキャスターとして短い言葉で示した上でその他の話題に移る見事なキャスターコメントだった。