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兵隊たちの「語られなかった言葉」
――あの頃について、なにか思うところはありますか?
土屋 今となってはかなわぬ望みでしょうが、当時の兵隊さんにはお会いしたいですね。みんなシラミだらけでやせ細って帰って来て、もっと親切にしてあげればよかったと思います。
兵隊さんも箝口令でも敷かれていたのか、戦地でのことは話しませんでしたね。あまり戦地の厳しい状況を話してしまうと、内地の人たちの士気をくじくことにもなりますからね。
ただ、兵隊さんの目を見て、「つらい思いをしてきたんだな」と想像するばかりでした。自分が帰って来ても、まだ戦友たちは戦地で戦っているわけですから、ほっとしたような顔をしている人は一人もいませんでしたよ。戦友というのは結びつきがすごく強いものなんですよ。
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※この記事はインタビューと合わせ、土屋さんの自著「過ぎた歳月」の記述を加えて構成しています