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寒さで凍死する不安が胸をよぎる

 おじさんが泊まるテントは墓から遠い。墓の中から大声で呼びかけても一向に反応はなく、しかもよりまずいことに守衛のおじさんは耳が遠そうだった。携帯電話も電波が入らない。

 月のない真っ暗闇の夜、まったく音のしない地下の墓、という状況もなかなかのものだったが、より切実だったのは寒さである。夜になると凍るような寒さが押し寄せ、このまま朝を迎えるまでに凍死するのではないか……という不安が胸をよぎる。

 寒さに気づくと今度はトイレに行きたくなってくる。これは我慢するしかない。我慢できなくなったら蓋を破壊する方法を考えよう。

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 結局、それから1時間後くらいに私は外に出ることができた。守衛のおじさんが気づいて蓋を開けてくれたからである。

 私のことをすっかり忘れていた工作站のメンバーが車で迎えに来るまでの間、おじさんのテントで暖をとりようやく生き返ったわけだが、墓から出てすぐ、真っ先にトイレに行ったのは言うまでもない。私はそれどころではなかったが、あの状況で霊感の強い人であれば何かが見えたりしたのだろうか、と今になって思わないでもない。

 しかし私にとってよりミステリーなのは、必死に図面をとったあの墓の報告書がまだ刊行されていないことである。私の図面がまずすぎて世に発表できないのだとすれば、これほど恐ろしいことはない。