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数年後、彼女の実家を訪れた
私はそれから数年後、大学生になり、彼女の実家を訪れました。ドイツの中でも彼女は東ドイツ出身で、ベルリンから電車で彼女の住む街に向かう途中、窓の外を見ていると、東側に入った途端に建物の質や人々の生活の様子から、経済状況が西とは違うことに私は気付きました。
実際に降り立ってみると、西側とはちょっと違う料理が出てきたりと新鮮な体験でしたが、何よりも驚いたのが、東側における女性の活躍が圧倒的だったことでした。私の友人は当時、物理学の大学院生だったので、彼女の研究室を訪れると、教員や研究員の女性の数が目に見えて多いことに気付きました。
当時日本の医学部生だった私は環境の違いに驚いて、それについて聞いてみると、彼女曰く、「共産主義はみんなが働く、みんなで支える、というコンセプトだから、長らく共産主義の支配下だった東ドイツでは、女性が働くのは当然なんだよ。そのつもりで私達はいるけど、西側に行くと、ちょっとジェンダーの捉え方が違うと感じることもある。でも少しずつ変わっている」と。彼女が言った「少しずつ変わっている……」が、その後のメルケル首相の誕生に繋がったのかなと思い返します。
彼女の活躍や生活に触れ、戦時中の絶望的な国内状況や思想から脱しドイツという国が積極的に前進している様子が垣間見えました。