仕事をやめたくなるときって、どんなときでしょう。たとえば、会社の誰かとケンカしたときや、自分が納得できないことがあったとき。あるいは、自分は正しく評価されていないと思ったときとか。たぶんそういうときに、もうやってられない、やめてやる、となるんだと思います。
私もそういうことはたくさんありました。先輩にいじわるをされて、仕事をさせてもらえなかったこともあります。でも、そのときでもやめることは考えませんでした。
なぜって、この仕事が好きで、自分で選んだからです。自分で決めて、この仕事を覚えるために来ていると思っていたから、やめてしまったらなんのためにここに来たのか、そもそもの目標がわからなくなってしまいます。それに、やめたからといって、一緒なんです。他の会社、他の仕事へ行ったらまたゼロからのスタートになって、せっかく今成なそうとしていることを失ってしまう。ゼロから始めてもまた同じことを繰り返すかもしれません。私は自分の目標がわかっていたから、ケンカをしたり嫌なことがあっても、心は折れなかった。
私の喜びは何かをやり遂げること。
誰でも、自分にとっていちばん大切なことを、それぞれに持っていると思います。その大切なことを、まわりに左右されないようにすることがとても大切です。
今の会社に入る前に、清掃以外の会社に勤めたことがあります。音響機器のメーカーでしたが、その会社をなぜやめたかというと、自分にできることを覚えきってしまったからです。ここまではできるようになったから、じゃあ次はこういうふうに勉強しようと自分なりに考えても、それは求められていなかった。そうすると、私がそこにいる意味がなくなってしまうんです。お金をもらえればそれでいいとは考えていませんでしたから。
それでその会社をやめて、職業訓練校に入って、清掃のことを基礎から勉強することにしたんです。
私の喜びは何かをやり遂げること。そして、清掃の仕事が大好き。
このふたつが、私にとって大事なことです。自分にとって大事なことがはっきりしていれば、誰が何を言っても、左右されることはありません。
そうなるためには、やっぱり、自分で選び取らなければいけないんです。