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“まさしく駅裏だった”ハーバーランドと「八時間労働発祥の地」

 ハーバーランドは、貨物駅や海沿いの倉庫街をまとめて再開発したエリアだ。商業施設や高層マンション、オフィスビルなどが一体となった神戸市内における拠点地域のひとつになっている。飲食店街が集まっている海の近くには観覧車もあり、駐車場には満車のサイン。道には空きを待つクルマが長い列を作っている。クルマだけでなく、地上も歩道橋もたくさんの人で溢れている。

 

 ハーバーランドのある貨物駅が現役だった時代からすればまさしく“駅裏”だったのだろうが、いまはそんな面影はない。神戸駅も、実はハーバーランドの最寄り駅という形での復権の最中にあるのかもしれない。神戸駅のお客の数は長期的に見れば減少傾向にあったが、2013年にハーバーランド内の商業施設「umie」がオープンしたことで反転している。コロナ禍でここ数年はガクンと減ったが、ハーバーランド次第ではまたもとに戻ることだろう。

 まさしく、いまの神戸駅を支えているといっていいハーバーランド。ほとんど貨物駅時代の面影はない。ただ、そんな中にも煉瓦造りの倉庫をそのまま再利用したレストランや、そのまま残された船溜まり、運河を隔てて見える川崎重工の工場などに往年の神戸駅を感じることもできる。

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 そして、その一角に建っているのが、「八時間労働発祥の地」の碑だ。なんでも、川崎造船所(現在の川崎重工)が大正時代に日本で初めて8時間労働を実施したことを記念したものだとか。

 

 それまでは労働時間もへったくれもなくこき使っていたのだろうから、それから比べると大きな進歩だ。だから神戸駅から全国へと広まっていったのだろう。とはいえ、そのときせめて6時間労働とかにしてくれていたら、現代人ももっとラクな人生を送れていたのかもしれません……。

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