改めて言うまでもないことですが、阪神甲子園球場があるのはもちろん大阪でもなく、尼崎でもなく、兵庫県西宮市である。阪神タイガースの実に大阪っぽいイメージのおかげで、甲子園球場も大阪にあると思っている人がいるとかいないとか。野球にまったく興味がない知り合いに聞いてみたら、「大阪じゃないの? あ、西宮? まあどっちでもいいでしょ」と実につれないお答えを頂いてしまった。

 それはともかく、問題なのは西宮だ。西宮市は、ちょうど大阪と神戸、つまり阪神のちょうど真ん中に位置している。繁華街などもあるにはあるが、どちらかというと大阪や神戸に通勤する人たちが多く暮らしているベッドタウンとしての性質が強い。

 そして、阪神間の町の宿命というべきか、尼崎などと同じく市内を東西に3本の線路が通っている。いちばん南を通っているのが阪神電車。甲子園球場最寄りの甲子園駅や西宮駅が西宮市内を代表する駅だ。

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 阪神西宮駅周辺が、古くからの西宮の中心市街地になっている。関西では毎年決まって盛んに報道される十日えびすの福男レース。それが行われている西宮神社も、阪神西宮駅の近くにある(というよりは、西宮市自体が西宮神社門前町に発している)。

 阪神電車のすぐ北側にはJR神戸線(東海道本線)が通り、こちらにも西宮という駅がある。阪神西宮駅から歩いても10分ほど。JR線における西宮市の代表駅という位置づけになるが、肝心要の新快速が通過してしまうので、ちょっと存在感は薄い。

 そしていちばん北を走っているのが、ご存知あずき色の阪急電車である。

“阪急第3のターミナル”「西宮北口」には何がある?

大阪―神戸間“いちばん北のナゾの阪急の駅”「西宮北口」には何がある?

 阪急電車における西宮市内最大のターミナルは、西宮北口駅だ。神戸線と今津線が交差する交通の要衝にして、日々のお客の数は阪急全駅でも大阪梅田・神戸三宮に次ぐ第3位。これには改札内で神戸線と今津線を乗り換えるだけの人を含めていないから、実際にこの駅を使っている人はもっともっと多い、ということになる。

今回の路線図。阪急全駅でも大阪梅田・神戸三宮に次ぐ第3位のターミナル「西宮北口」

 さらに、この西宮北口駅、その場所がとてつもなく便利なのだ。特急に乗って大阪梅田駅からは12分、神戸三宮駅からは14分。ついでに今津線で宝塚まで行くと14分。つまり、梅田にも三宮にも宝塚にも、ほとんど同じ時間で行くことができるという、圧倒的な利便性の高さを誇っている。

 もうひとつ付け加えれば、今津線に乗って宝塚とは反対、南側に向かうと今津駅で阪神電車と接続する。今津線は阪神間のベッドタウンを南北に連絡するという、実に大きな役割を担っているのだ。