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入り口をバッと開けたらクマがワーッと襲ってきてよ。あれは参ったね~
米田 あれは貧乏だった俺の発明なんだ。ドラム缶2つくっつけて、両方の側面に2センチくらいの麻酔用の穴をあけておく罠でね。
ある時、クマがかかったので片側から覗いたら後ろ足の先が見えた。もう一方を覗くと鼻先が見えて、麻酔したら静かになったので安心して入り口をバッと開けたらクマがワーッと襲ってきてよ。すかさずスパイクの着いた靴で鼻をガンって叩いたらドラム缶に戻っていったんで、入り口を閉じて。なんとか事なきを得たけども、要は罠の中にクマが2頭入っていたわけだ。あれは参ったね~。
クマの大量出没が続くようになった原因
東出 すごい体験です(笑)。でも米田さんの活動でかなりのクマが救われたのでは?
米田 私自身300頭ぐらいやりましたけど、それが「広島方式」として全国に広がり、現在まで続いて数千のクマが助けられたとみられている。こうした中で94年には西日本の17県の狩猟を禁止。2000年には法改正もされ、適正な狩猟を行ってクマを管理、保護していこうという機運が高まってきたんだが、その直後から状況ががらりと変わってしまった。
東出 何があったんでしょう?
米田 忘れもしない2004年、台風がたくさん上陸した酷暑の夏だったが、この年にクマが大量出没した。さらにその後、2006年、2010年と大量出没が続くようになった。私が秋田県でクマに関わった1973年から90年までの17年間では、大量出没と言われた年は79年と86年の2回だけだったから、ものすごく不可解で。