常磐線という鉄道路線は、どんなイメージを持たれているのだろうか。

 もちろん、常磐線は350kmに及ぶ長大な路線で、途中には水戸や日立、いわきといった町があり、最後には仙台方面にまで繋がっている。だからそれぞれの地域ごとに多岐にわたる特色を持っていることは間違いない。ただ、こと東京からみた、ということに限ると、だいたいそのイメージは偏見に満ちあふれることになる。

 いきなりこんなお話で恐縮だが、常磐線を語る中でよく出てくるエピソードが、「電車の中でコップ酒で乾杯している」などというものがある。現実問題、いまは乾杯ができるようなボックス席がほとんどなくなっているし、だいいち令和のご時世にはあまり見かけるものではないと思う。ただ、ひと昔前には現実の光景だったことは間違いないようだ。

ADVERTISEMENT

 また、松戸、柏、取手、土浦と続く常磐線の町も、常磐線イメージを形作っている。それこそひと昔前、昭和のおじさんと常磐線の話をすると、決まって土浦といわき・小名浜の風俗街の話題が出てきたものだった。土浦は北関東、小名浜は東北最大の風俗街だといわれるほどで、そのどちらも常磐線沿線というあたり、これらも東京からみた常磐線イメージの形成に大きく貢献しているのかもしれない。

 ともあれ、そんな偏った、田舎臭くてそれでいて猥雑で、といったイメージを象徴している町のひとつが、終着駅でもある土浦ではないか。

常磐線“ナゾの終着駅”「土浦」には何がある?

 上野駅から1時間とちょっと。茨城県の中ではそこそこの知名度があって、でも東京への通勤も充分に可能な距離であり、これより先に行くとあとは水戸かあ……と思わせる。この絶妙な距離感の町・土浦。いったい、どんな駅なのだろうか。

常磐線“ナゾの終着駅”「土浦」には何がある?

今回の路線図。上野駅から1時間とちょっと、霞ヶ浦のほとりに位置する「土浦」

 常磐線の列車は、特急ならば土浦よりも先の水戸、日立、いわきへと走ってゆくが、それ以外の普通列車の多くは土浦止まりだ。ちょっと前までは東京から水戸への直通列車も多かったが、いまは水戸に行くには土浦で乗り換えねばならぬ。つまり、土浦駅は交通の要衝地でもあるのだろう。

 古くから茨城県南部の中心地だったという土浦のターミナル。ホームの上に築かれた橋上のコンコースに出ると、「ようこそ“サイクリングのまち 土浦”へ」と書かれた横断幕が出迎えてくれる。改札を抜けた先の駅ビルには、天下の星野リゾートの宿泊施設も入っていて、ここでもサイクリングを押している。