土浦は日本第二の広さを誇る湖・霞ヶ浦があるまちだ。土浦がサイクリングのまちになったという話は寡聞にして知らなかったが、きっと、霞ヶ浦一周サイクリングなどを楽しむ人たちの拠点として使われているのだろう。
そもそも、駅ビルに星野リゾートが入っているというのは、なかなか珍しいのではないか。というかほとんど聞いたことがない。JRの駅ビルにあるのはだいたい系列のホテルばかりだと思っていた。それが土浦ではサイクリングの拠点宿泊施設。他に入っているテナントも、どこにでもある地方都市の駅ビルとはひと味違ったオシャレショップばかりという印象だ。あれ、着いていきなり、土浦のイメージはまったく覆されることになりそうです。
駅舎から西口に出る。まっすぐ直結するのはなんと…
そのまま駅の外に出てみよう。土浦駅の東口は、少し歩くと霞ヶ浦湖畔の土浦港が見える場所。その傍らには野球場や陸上競技場が設えられている。つまり、土浦という駅は完全に霞ヶ浦に接して設けられた駅というわけだ。そして、市街地が広がっているのは霞ヶ浦とは反対の西口になる。
橋上駅舎から西口に出ると、そのままペデストリアンデッキが駅前広場の真上を覆う。駅からまっすぐ直結しているのは、なんと土浦市役所だ。
駅前のURALAというビルに市役所がそのまま入っている。ビルの屋上にはでかでかと「土浦市役所」と掲げた看板もある。市役所が駅前という便利な場所にあるのは悪くないが、さすがにこれはなかなか珍しいのではないか。
実は、もともと市役所は別にあり、このURALAにはイトーヨーカドーが入っていた。2013年にヨーカドーが撤退し、かといって新しく入ってくれる核テナントがあるわけでもなく、市役所がそのまま本庁舎として使うことになったのだ。
ひと昔前までは、土浦駅周辺にはほかにもマルイや西友などの商業施設があった。まさに茨城県南の中心都市にふさわしい、そういう駅前風景が広がっていた。それが00年代以降少しずつ撤退していき、いまの形になったのだ。このあたり、地方都市ならではの、という悲哀が感じられるところである。
それでも、市役所の、つまりは駅のまわりにはオフィスビルや飲食店なども建ち並んでいて、それなりに人通りも多い。駅ビルの中のカフェではけっこうな人がくつろいでいるし、バスがロータリーにやってくる度にたくさんの人が吐き出される。