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異例の“ハートウォーミング”な追悼演説
ただ、プーチン大統領がプリゴジン氏に対して、一定の好感を持っていたことは事実だと思います。暗殺した人物に対して、プーチン大統領が哀悼することはこれまでなかったはずですが、プリゴジン氏への言葉は暖かい。
暗殺された後のテレビ放送では、「1990年代から、彼のことを知っているが、プリゴジンは才能のある男だった」「ロシアのために成果を上げた」と語っています。そして、「複雑な運命を辿った人物で、重大な間違いを犯した」と語っている。表現の仕方がずいぶんと“ハートウォーミング”で、プリゴジン氏のことを人間としては決して嫌いじゃなかったんだな、と思いました。他の政治的暗殺で亡くなった人と比べると、扱いが全然違う。
プリゴジン氏は「プーチンの料理人」で、プーチン氏が大統領になった2000年以降、プリゴジン氏のレストランに行くようになったというのが公式的な説明だったんです。それが今回のテレビ放送では、1990年代から関係があったことをみずから明かしている。プリゴジン氏は「ホットドッグ屋で身を立てた」と言われていますが、おそらくそれは嘘で、本当はサンクトペテルブルグの闇カジノでのし上がったようです。そして当時のサンクトペテルブルグ市闇カジノ撲滅委員会の委員長が、プーチン氏だった。推測するに、このときから2人の関係はズブズブだったのだと思います。だからこそ、プリゴジン氏は闇カジノで半グレのように儲けることができたのではないでしょうか。このあたりの関係をプーチン氏は認めているわけではありませんが、今回のあいさつでも「昔から関係があった」と認めています。