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「先生、催眠術を受けるんですか?」東ちづる(63)が明かす、“母娘の確執”を乗り越えるために親子で挑んだカウンセリングの中身

東ちづるさんインタビュー #3

2023/09/17

genre : ライフ, 社会

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 37歳の時に自身が「AC」(アダルトチルドレンの略。家庭環境などの影響で子どもらしい幼少期を過ごせなかったことにより、大人になってから生きづらさを感じている人)だと気づいた、女優・東ちづるさん(63)。

 母・英子さんと2人で公認心理師・長谷川博一氏のカウンセリングを受けた東さんは、“自分らしさ”を取り戻し、それまで窮屈に感じていた母子関係も改善することができた。42歳の時には、カウンセリング内容を記した『〈私〉はなぜカウンセリングを受けたのか 「いい人、やめた!」母と娘の挑戦』(マガジンハウス)を上梓し、大きな反響を呼んだ。

 そんな東さんに、母親と一緒にカウンセリングを受けた理由や、カウンセリング後の母子関係の変化、日本の家族観への思いなどを聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む)

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東ちづるさん ©三宅史郎/文藝春秋

◆◆◆

「カウンセリングを一緒に受けよう」と母に言ったら、泣かれてしまった

――東さんは、お母様と2人でACのカウンセリングを受けられたそうですね。親子関係に何か問題を抱えていたとしても、なかなか親子でカウンセリングを受けようと決断するのは難しいと思います。

東ちづるさん(以下、東) 父が亡くなったときに、すごく後悔があったんです。もっと父のことを知りたかったし、私は結局父のことを全然知らないことに気付いて。亡くなった後に父の同僚や社員さんが「こんな人だったよ」と教えてくれるんですけど、どれも私の全然知らない父なわけで。それで、もっと交流すればよかった、もっと父のことを知りたかったというのがあったんですね。

 母に関してはどこかで諦めている自分がいたんですけど「彼女も解放したい」とも思ったんです。「こんなに社会の目、世間の目を気にして生きているのはしんどいだろう」と。

幼児期の東ちづるさん(中央)と両親、妹(本人提供)

――「カウンセリングを一緒に受けよう」と言ったとき、お母様はどのような反応でしたか。

 泣かれちゃって。母に「私たちにいつも『頑張れ』って言ったよね、そう言って欲しくなかったんだよ」と言ったら、「あんなに一生懸命、自分を犠牲にして育てたのに、青天の霹靂」だと。「この歳になってそんなことを言われると思わなかった」みたいな。

 当時、まだそういったカウンセリングなどに理解がある時代ではなかったから「私はおかしい人じゃない!」と言われて。「私をあなたの理想の母親に変えたいわけ?」というようなことも。

 

カウンセリングがどういうものなのかを誤解していた

――今ほど、カウンセリングを受けている人は多くなかったでしょうね。

 そうそう。特に親子カウンセリングをしている人は、当時あんまりいなかったから。

――結局、どのようにお母様を説得されたのですか。