北関東でいちばん大きな都市は、宇都宮市である。ご存知ギョウザの町で、この夏には新しくLRT(路面電車みたいなものだ)が開業したりしてそれも話題になった。人口は実に約52万人。栃木県では第2位の小山市が約17万人だから、宇都宮の規模は圧倒的といっていい。そりゃあ、栃木県の県庁所在地が宇都宮市に置かれているのも、あたりまえのお話である。

 ところが、地図を眺めていて気がついた。栃木県には、県庁所在地の宇都宮市とは別に、県名と同じ名を持つ「栃木」という町があるではないか。都道府県名と県庁所在地の都市名が異なっているのは別段珍しくもなんともない。ただ、栃木の場合はちょっと事情が違う。だって、県名と同じ都市があるのだ。同じような事例を探してみても、ほかには山梨県があるくらいだ。

 まあ、屁理屈をこね回したところで、栃木県においては栃木市と宇都宮市の都市としての規模の違いはあまりに大きい。50万都市と15万都市、どちらに県庁を置くか、と聞かれたらほとんどすべての人が50都市に票を入れるに違いない。

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 だから宇都宮市が県庁所在地であることにケチをつけたいわけではない。気になるのは、県名そのままの名の都市である、栃木とはいったいどんな町なのか、である。

東京都心から約1時間…“ナゾの県名の駅”「栃木」には何がある?

東京都心から約1時間…“ナゾの県名の駅”「栃木」には何がある?

 栃木市の玄関口は、その名もまんまの栃木駅。JR両毛線と東武日光線が乗り入れる、ちょっとしたターミナルになっている。

今回の路線図。東京都心からは宇都宮の“手間”、新幹線でも特急でもだいたい1時間の場所にある「栃木」

 東京都心から栃木駅に行くには、浅草か北千住あたりから東武特急に乗るか、小山駅で新幹線を降りて両毛線に乗り継ぐか。スピード感としては新幹線の方が優位だが、いかんせんおカネがかかる。おカネと時間を天秤にかければ、東武特急も新幹線もどっこいどっこいだ。いずれにしたって、都心から約1時間ほどで栃木駅に着く。