1ページ目から読む
3/3ページ目
NHKに限らず、民放も「自己検証」へ
NHKは9月11日放送の「クローズアップ現代」で、ジャニーズ事務所の性加害問題をなぜ報道してこなかったのかについて検証していた。この検証は、追及不足で不十分だという批判もあるものの、ジャニー喜多川氏の性加害に関してテレビ関係者がどのような姿勢でいたのか公共放送として自ら検証する姿勢を示した意味は大きい。
この時の「クロ現」でも、1999年に始まった「週刊文春」によるキャンペーン報道などについて言及し、ジャニー喜多川氏の性加害についての記述が真実であると認定された高裁判決が最高裁で確定した2004年前後に、なぜテレビ関係者が報道しなかったのかを中心に検証した。
だが、ジャニーズ事務所とテレビ局の関係には今でも明らかになっていない闇の部分があるのではないか。今後、第2弾、第3弾の検証が求められる。そして、NHK以上に人気タレントを自局番組に起用することが視聴率や利益に直結する民放では、その闇の部分はより深いと筆者は考える。
大手スポンサーのCMなどでのジャニーズ事務所所属タレントの起用見直しはドミノ現象になりつつある。テレビ局も「取引企業」の一つである以上、グローバルなビジネス環境の中で「人権尊重」や「再発防止」への取り組みの姿勢が問われるのは当然のなりゆきだ。今のところ消極的に見える民放各局も「検証」を求められていくはずだ。今後、民放各局でも「自己検証」ドミノの扉が開くかもしれない。娯楽番組や報道番組を抱えるテレビ。自らを検証することがテレビへの信頼回復の道につながるはずだと思う。