9月21日朝、ジャニーズ事務所の性加害問題に関して、TBS「THE TIME,」で総合司会の安住紳一郎アナがTBS社長の記者会見の内容を読み上げる一幕があった。そもそも、テレビ局の社長の言葉をアナウンサーが読み上げるのは異例のことだ。この出来事がテレビ界に与えた衝撃はとても大きい。
社長の“異例のコメント”を読み上げ
番組では、主な経済団体の一つである日本商工会議所の小林健会頭がジャニーズ事務所の社名を「変えた方がいい」と指摘し、企業として性加害の事実を認識していた点について、「コンプライアンス上、非常に問題」だと厳しく批判したというニュースを映像で伝えた。
続いて安住アナが「TBS社長の佐々木卓が会見で様々な質問に答えていましたので、いくつか紹介します」と前置きして、番組放送前日の20日に行われたTBSの定例記者会見について、以下の内容を読み上げて伝えた。
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・9月13日にTBSのコンプライアンス担当役員がジャニーズ事務所の東山紀之新社長に改革を求める要望書を直接手渡して、東山社長と話をした。
・佐々木卓社長が定例会見で、2004年、性加害の真実性を認定した高裁判決が最高裁で確定した際に、ニュースでジャニーズ性加害問題について取り上げなかったことへの所感を問われ、報道局員数人から聞き取りを行った結果、以下の2点が自分たちの落ち度だと認めた。
→当時、男性から男性へのハラスメントが著しい人権侵害だという認識が乏しかった。
→週刊誌が報じた芸能界のニュースを芸能界スキャンダルと過小評価した判断ミスがあった。
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佐々木卓氏自身も当時報道局で働いており、会見で自らの認識の甘さを認めた。
「人権意識の乏しさ、芸能界のニュースに対する短絡的な見方を思い出すと、本当に恥ずかしいと思っている。報道機関としての役割を十分に果たせなかったことを深く反省している」
ジャニーズ事務所所属タレントの広告起用見直しが相次ぐなか、TBSは「取引企業」の一つとしてどう考えているのか。タレントを継続して起用するのか質問された際の佐々木氏の回答は次のようなものだった。
「現在契約しているタレントの出演は何ら変わらない。今後、人権の尊重に向けて改善していくのか、どう着実に対策を進めていくのかを注視しながら適正に判断していきたい」
社長コメントを「Nスタ」「news23」は報道しなかった
実はこの佐々木卓社長の踏み込んだコメントについて、TBSは定例会見当日の夕方ニュース「Nスタ」や夜ニュース「news23」では報道していない。通常ならばニュース番組でこそ伝えるべき内容だろう。
9月7日にジャニーズ事務所が性加害の事実を公式に認めた際には、「news23」でTBSの声明を放送していた。
「TBSテレビは、ひきつづきジャニーズ事務所に対して、被害者の救済と人権侵害の再発防止を要望していくとともに、事務所がどう着実に進めていくのかを今後も注視しながら、適切に対処してまいります。TBSグループは人権を尊重する取り組みに、より一層努めてまいる所存です」