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「タレントの応援をやめる必要はないけれど…」ジャニーズの“芸能”を享受するとき、僕が感じる“罪深さ”

2023/10/03
note

近年も続いていたジャニーズの性犯罪

 加えて、2003年の高裁判決で性加害が認定されたことで、ある種の決着が着いたように思ったところもあります。実際、近年ではジャニーズにおける性犯罪などないと思っていました。それが今回のBBCの報道で、あの判決以降もまだ性加害が続いていたということがわかって、それはショックでした。

 僕は当のBBCの番組で取材を受けています。そこでは、ジャニーズ事務所が日本の芸能界で持つ権力により性加害が不問になっている構造がある、それは社会的に断罪すべきだが、だからといってジャニーズ文化そのものを全面的に否定すべきではない、ということを話しました。

 BBC報道の後に発行された博報堂の雑誌『広告』での、ジャニーズの歴史についての対談でも同様のことを話したのですが、同社の上層部の判断で削除されてしまいました。ここでは詳しくは触れないので経緯をまとめたnote(※)を参照していただきたいのですが、奇しくもジャニーズ事務所の日本における特異な地位がうかがえる一件だったと思います。

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(※博報堂の雑誌『広告』(2023年3月31日)におけるジャニーズをめぐる対談の「削除」について

元ジャニーズJr.による告発を経て、8月には国連の人権専門家が会見した ©️時事通信社

「なんとなく容認していた」自分を問い返すこと

 いまの価値観から過去のことを断罪することに対して躊躇う人もいるかもしれませんが、現在の価値観から、ジャニー喜多川氏のおこなったことを問うことは必要だと思います。というか、社会的には必須なことでしょう。しかし大事なことは、その時、いままで僕が述べてきたような、問えなかった過去の自分をなかったことにしない、ということだと思います。それはジャニーズ関係者にこそ当てはまることですが。

 薄っすら知っていてもジャニーズを応援していたこと、なんとなく容認していたこと。そういう自分を問い返すことが大事なのだと思います。あるいは、BBC放送以後、突然急進的にジャニーズ批判やメディア批判をしている人もいますが、ではその人はなぜ同じ態度をBBC以前に取れなかったのか。