ティグリス=ユーフラテス川の合流地点に広がる謎の巨大湿地帯に挑んだ『イラク水滸伝』が話題のノンフィクション作家・高野秀行さんと、旅の同行者にしてレジェンド探検家の山田高司さんが語り合った特別対談。
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“怪獣ムベンベ”を探しにコンゴへ行っていた高野秀行
高野 今日は『イラク水滸伝』の旅をともにした山田隊長と、旅路を振り返って裏話をしていきたいと思います。山田隊長というのは、私だけでなく、多くの人が敬意を込めて呼んでいる愛称で、レジェンド探検家にして日本の環境活動家の草分け的な存在です。
僕が山田隊長に最初に出会ったのはもう30年以上前のことで、隊長が「緑のサヘル」という環境NGO団体の現場責任者をしていた頃でした。
山田 うん、1991年だね。チャドで植林活動を始めるときに、チャド政府に出す公式の申請書が必要になったんですね。自分はフランス語を話したり読んだりはできるけど、書くのは難しかったから、友人に「フランス語の出来る奴を連れてきてよ」って頼んだら、来てくれたのが高野だった(笑)。
高野 僕はその前に、コンゴに謎の怪獣ムベンベを探しに行っていたんですね。コンゴは公用語がフランス語で、僕は政府への許可申請みたいな書類を書くのに慣れていたから、すらすらと翻訳できた。そのお礼に飲みに連れて行ってくれたのが、隊長との最初の接点でした。
山田 そこから何度か手伝ってもらったんだけど、当時は「高野、暇か?」って電話するといつも暇で、晩飯と酒をつければすぐフランス語に訳してくれたよね。
高野 その後、隊長は97年にご自分で四万十・ナイルの会というNGOを立ち上げるんですね。ナイル川沿いで環境活動している地元のNGOを支援する団体を。
そこで現地のどのNGOを支援したらいいのか視察に行かないとわからないから、4カ月かけて広大なナイル川流域を調査するためのパートナーが必要になった。ある程度アフリカを知っていて、英語とフランス語ができて、4カ月時間が取れて、しかもノーギャラで受けてくれる人が。普通そんな奴いるわけないですよね!?
山田 それがいた! 君だった(笑)。