女性向けAVの「ハメ撮り」の“不思議さ”
──登場人物が自らカメラを持つ撮影法は、女性向けAVにもあるんですか?
服部 たまにあります。「ハメられ撮り」とか「逆ハメ撮り」とか呼べばわかりやすいんでしょうが……。女性だって「ハメ」るんだから、そのまま「ハメ撮り」でいいかもしれませんね。
カメラを持つのは、女性とは限りません。カップルの手元に何らかの理由でカメラがあって、彼氏と彼女が撮り合ったりするんです。男性向けAVでは、男性がカメラをほぼ持ちっぱなしなので、かなり違いますよね。
──カメラが、カップルの雰囲気を盛り上げるグッズのようなものになっている。
服部 現実に、セックスする場にカメラがあるとして、彼氏だけが撮影していたら、ちょっとおかしいじゃないですか。彼女が「私にも撮らせてよ」と、ちょっかい出したりしたくなると思うんです。
たとえば『撮りながらえっち。』(SILK LABO)という女性向けAV作品では、彼氏がスマホで彼女を撮るだけではなく、彼女も責めたり責められたりしながら、スマホで彼氏を撮影します。
面白いのは、ハメ撮りのはずなのに、スマホで撮っている映像が視聴者の見る画面に映るわけじゃないんです。視聴者はあくまで「第三者視点」で、少し離れた位置の定点カメラを通して、ハメ撮りしている2人を見ることになります。
この作品では、カメラは一人称視点の映像を撮るためのものではなく、カップルのイチャイチャを盛り上げる小道具のひとつなんです。
「セックスを自撮りして」と男優に指令
──男性向けAVではあまり見ない世界ですね。
服部 そうですね。他には、監督から男優に「セックスを自撮りしてきなさい」と指令が下る、というパターンもありました。
『主導権奪い合い⁉翻弄されっぱなしの自撮りエッチ』という作品では、「ふたりでお互いを撮りながらエッチしてみて」という指令が下ります。なのでカメラ自体は男優が持っているんですが、あくまでも「自撮り」なので、映るのは男性か、男女一緒なんです。
もちろん中には、「エッチなお姉さんが年下のかわいい男の子をナンパして…」みたいな、男性向けAVの性別をそのまま逆転したようなものも、なかったわけではありません。面白い試みでしたが、あくまで例外的なものという位置づけでしょうか。