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――カメラの視点以外に、男女のAVで違うところはありますか?

服部 女性向けAVのほうが、ストーリー性を重視する傾向があると思います。もちろん、作品のメインはセックスシーンです。ドラマが見たいわけじゃない。

 でも、セックスに至るまでのシチュエーションや、関係性の描写が長めなことが多いです。行為後のピロートークにもある程度の時間を割くなど、「セックスの前後で、2人の関係性はこう変化した」というのを見せますね。

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服部恵典氏 Ⓒ今井知佑/文藝春秋 

──たしかに、男性向けAVでは、行為後のシーンはあまり見ないですね。

服部 射精したら画面がフェードアウト……というものが多いと思います。

 全体的にいうと、「自然で普通」を大事にしている印象でしょうか。女性向けAV最大手メーカー・SILK LABO(シルクラボ)ができた経緯からして、「AVの派手なセックスを真似されたら女性は困る」という不満がありました。女性向けAVには、「普通」の人たちの「普通」のセックスを撮りたい、見たいという思いがあるのかもしれません。「普通」とは何なのかはさておき。

──では、アクロバティックな体位は少ない?

服部 僕はSILK LABOのほとんどの作品を見ているつもりですが、せいぜいシックスナインぐらいでしょうか……。女優の顔にフィニッシュする場面は見たことがありません。

女性向けAVで「避妊」が大事な理由

SILK LABOのトップページ(SILK LABOサイトより)

──SILK LABOといえば、男性が避妊具をつける場面があるのも特徴とか。

服部 ええ。女性のほうが、妊娠のリスクに敏感だからでしょうね。性欲を高めるためにAVを見るのに、話の中に妊娠の予感があると、“快楽・娯楽”としてのセックスに集中できないからでは……と思います。男性向けAVで「生」が人気ジャンルなのとは、全く違いますね。

 ただし、これはあくまで「女性向けAV」の傾向で、女性の中には「生」を好きな人もいます。というのも、大手アダルトサイト・FANZAの2018年のレポートによると、女性ユーザーの人気検索ワード11位は「中出し」でした。男性だと8位ですから、大きく異なるわけではありません。