個人や少人数で製作した映像を、「Pornhub(ポルノハブ)」などのアダルト動画サイトに投稿し、収益を上げている人が増えている。「適正AV以外のアダルトビデオ」をつくり、莫大な収入を得ている人はいったいどんな人物なのだろうか。
ここでは、ノンフィクションライターの中村淳彦氏による『同人AV女優 貧困女子とアダルト格差』(祥伝社新書)の一部を抜粋。日本最難関の大学を卒業し、現在はPornhubプロデューサーを生業とする男性、そして出演者の女性の思いを紹介する。(全2回の1回目/続きを読む)
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コンサル出身のポルノハブ・プロデューサー
最先端と呼ばれる同人AVは、カナダ発のプラットホーム「ポルノハブ(Pornhub)」を利用したポルノハバー(Pornhuber)たちのファンクラブ運営である。
ポルノハブとは、無料でポルノ映像が閲覧できるサイトで、全世界で10番目にアクセスされている巨大プラットフォームとして知られている。ポルノ映像専門のユーチューブと言えば分かりやすいだろうか。
村上太郎(34歳、仮名)はポルノハブで30チャンネル以上を運営するポルノハブ・プロデューサーで、JR中央線沿線に自社スタジオを持つ。プロデュースするポルノハバーの女性たちが自社スタジオに集い、日々撮影が行なわれている。
「本職としてはIT系ベンチャーを経営して10年くらい会社をやっています。WEBマーケティング、SNS運用が本職だけど、コロナになって会社がうまくいかなくなった。どんどん案件がなくなって暇になったので、ポルノハブを始めたという流れ。初めて撮影したのが2020年夏、それから2年強。正直、なかなか儲かっています。いまの年収は数千万円単位です」
一番多いときはメンズエステ店を5店舗運営
村上太郎のキャリアはエリートそのものだった。日本最難関大学を卒業後、コンサルティングファームに就職。30歳のときにIPO(新規上場)を目指して起業し、コロナによって事業がスケールしなかったことでポルノハブ・プロデューサーに転身している。
「ずっとメンズエステが好きで、会社を経営しながら個人的にお店をやっていました。4年前にメンズエステの店を作って、一番多いときは5店舗を運営した。当時、ツイッターを使って集客する店はなかったので、SNSに力を入れたら成功した。その店は他社に売却して、いまも人気店です。メンズエステはカジュアルな業界でした。裏の世界みたいな人はいなかったし、4年間やって一度もそういう人たちが出てきたことはなかった。それはポルノハブ・プロデューサーになっても同じで、すごく健全に運営ができています」