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 10代の頃から親は三崎さんには「何の障害もない」と決めつけていたが、発達障害と診断が降りたことにより、地元からはるばる母親がやって来て医師の話を聞いてくれたり、ハローワークの専門支援の職員と電話で話してくれた。それでも結局、親から発達障害の理解をしてもらえたのかどうかは微妙なところだという。

早稲田卒であることを隠す

 手帳を取得してから三崎さんは障害者雇用枠でネットワークの保守管理を行なう会社に入社する。そこでも上司の当たりがきつく、毎日怒鳴られていた。

「お前は俺が行きたかった大学を卒業しているのになんでそこまで仕事ができないんだ」。写真はイメージ ©getty

「結果的にその会社は辞めたのですが、そのとき僕を怒鳴っていた上司は学歴コンプレックスがあったんです。『お前は俺が行きたかった大学を卒業しているのになんでそこまで仕事ができないんだ』と言われたことがあって。その上司がどこの大学卒だったのかはわかりませんが、こっちからしてみれば俺はあんたが行きたかった大学に行ったけどそんなこと知ったこっちゃないし、別に好きでこの会社で働いているんじゃないと思いながら仕事をしていましたね。

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 学生時代は『早稲田』というブランド名の影響力がどれくらいあるか全然わからなかったのですが、社会に出てからは相手に与えるインパクトがそれなりにあると知り、必要のない限りは大学名を口にしなくなりました。たまに『大学どこ?』と聞かれた際は『馬鹿すぎて忘れちゃいました』とごまかすようにもなりました」

 現在、三崎さんはさらに別の会社の障害者雇用枠で働いている。年収は300万円弱だ。大学の同級生たちに目をやると、大手企業に勤めている人が多い。