YouTuberとしても知られる早稲田メンタルクリニック院長の精神科医・益田裕介先生。自院の患者向け資料として始めたYouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」は、一般の視聴者からも支持されており、毎日更新。現在、動画本数は1600本以上、登録者数は48万人を超えている。
「精神科医がこころの病気を解説するCh」には、報道された事件をいち早く取り上げて益田先生が精神科医の目線で事件を解説するシリーズもあり、人気を集めている。今回のインタビューで、文春オンラインに掲載されてきた数々の事件についてもお話をうかがった。(全3回の2回目/続きを読む)
精神科医が犯した犯罪「薬漬け洗脳」「ススキノ“首狩り親子”」
――益田先生はYouTube動画で「精神科の医師と患者の恋愛は絶対にNG」と断言しています。
益田 それはもう絶対ダメです。患者との恋愛は、もちろんカウンセラーも含めてダメですね。
――文春オンラインが取り上げた事件で精神科医が、患者の女性と恋愛関係になり、薬物で支配して、監禁・暴行した事件がありました(「『従順になるように』と劇薬を処方されました」被害女性A子さん(20代)が告発する《歌舞伎町精神科医》による“薬漬け洗脳”の手口)。
益田 言うまでもなく、その事件は当然、医師側が100%ダメですね。
――医師と患者の恋愛がNGであれば、例えば教師と生徒という関係でもNGでしょうか。
益田 ダメだと思います。だってそんなの親と結婚するようなものでしょう。それはもう虐待に等しいですよ。ただ、ダメだけど僕は「何十年も牢獄へ入れ」とまでは思いません。いくらダメだとわかっていても、失敗を犯すのが人間です。とはいえ、どう考えても医師と患者の恋愛はタブーです。
――精神科医の関わった事件といえば、《ススキノ“首狩り親子”事件》もありました。精神科医の父親が殺人の犯行に加わっていた。この事件は「精神科医がこころの病気を解説するCh」の動画でも取り上げていて、先生が「動揺している」と発言していました。
益田 動揺しました。だってあまりに怖いじゃないですか、仲間だと思って信頼していた相手が、殺人犯だったということになったら。特に同じ病院で働く医師とか看護師たちは仲間として信頼していたでしょう。精神医学は狭い業界だから、もしかしたら僕の知り合いのまた知り合い、くらいに近い距離の人かもしれない。
人間だから犯罪を犯す人もいる。だけどそれが身近なところにあれば動揺します。ただ、人がいつ悪いことをするかとか、ルールを守れなくなってしまうかといったことは、誰にもわからない。古今東西そうだと思います。
――自分が診てもらう精神科医の先生が「信頼できる医師かどうか」という見分け方はありますか?