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有事は現実味を帯びてきている

 海上自衛隊、海上保安庁、神奈川県の防災ヘリ、珍しいとこでは民間のSECOMのヘリまでが招かれ、自衛隊初の女性音楽隊長率いる第12音楽隊の演奏や防衛大学校儀仗隊によるファンシードリルが航空祭に花を添えた。

©宮嶋茂樹

 10時30分から始まった編隊飛行ではCH-47通称「チヌーク」大型輸送ヘリ3機を先頭にOH-1通称「オメガ」偵察ヘリ、AH-1通称「コブラ」対戦車ヘリ等、もちろんV-22オスプレイ計19機の航空機の編隊飛行が上空をローパスしていく。もうBGMにワーグナーの戯曲「ワルキューレの騎行」が聞こえてくるようである。つづく訓練展示飛行ではCH-47大型ヘリからのドアガン(12.7mm重機関銃)射撃、高機動車のスリング(吊り下げ)降下、V-22オスプレイも加わったヘリボーンともう目の前で一大スペクタクルが繰り広げられたのである。

 訓練展示の後の地上展示でもオスプレイは一番人気、もうこんな機会でしかこんなに近くで拝めんのである。レンズを向けることもできんのである。特にこの日は後部ハッチも全開で御開帳、機内はどれくらいのスペースがあるのか、何人くらい乗れるのか、さらにコックピットの一部までのぞけるのである。

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 もちろん国防秘に関わるとこはしっかり隠しているが、そのせいで、オスプレイは正面より、背後のほうにマニアが鈴なりという、人間に例えたら、ちょっといやらしい感じに見えるぐらいである。

©宮嶋茂樹

 しかし、不肖・宮嶋、この日の訓練展示を見て、ただはしゃいでいたわけではない。もちろんこのような訓練が訓練で終わるに越したことはない。我が国の有事で実際、オスプレイが飛び回ったり、チヌークが侵略者に向けて実弾射撃するところなんぞ見たくもない。ただそれがにわかに現実味を帯びてきたのである。

 今も我が国はウクライナの市民の頭上にためらわず爆弾を降らせているロシアが隣国である。ロシアはまごうことなき我が国固有の領土を78年にわたって不法占拠をつづけ、今や北海道からわずか3.7キロの貝殻島まで迫ってきているのである。南は南西諸島周辺海域はすでに中国の海となって久しく、沖縄の漁船は尖閣諸島周辺で操業できんしまつや。