「エロ同人ゲーム」の利益の実情
「少なくともうちはめちゃめちゃ儲かります」
一般的にビデオゲームの制作は多くの労力が必要で、一般のインディーゲームは大して儲からないケースもしばしばあるという。しかし、このサークルに関しては正反対のようだ。
あくまで“当たれば”の話ではあるが、制作に必要な経費に対して利益が大きく、ゆえに儲かるという。また、A氏はゲーム制作をするうえで苦に感じたことはひとつもなく、メンバーも作りたいものを作っているという。大学サークルの延長線上かのように楽しく活動しつつも、何かを決めるときはきちんと話し合ってトップとしての対応も行うそうだ。
前述のように、エロ同人ゲームは海外でも人気のPCゲーム販売プラットフォーム「Steam」でも販売される。つまり、海外向けにも自分たちの作品を売ることができる状況なのだ。
「海外でも人気があって売れていますね。(ユーザーは)中華圏が多いです。」
エロは国境を超える。アメリカの「Anime Expo」というイベントではアダルトブースが用意されているし、DLsiteは「Hentai-Expo」という英語圏向けのアダルトゲームライブ配信イベントを実施している。需要は確実にあるのだろう。
海外のみならず、国内市場も成長を続けている。DLsiteでは、数年前は5000本~1万本売れれば大ヒットだったが、いまは3万本以上売れることもありえるという。日本では現在PCゲーム環境が普及しつつあり、それがエロ同人ゲームの市場拡大にもつながる可能性がある(エロ同人ゲームは主にPCゲームとして販売されている)。
A氏によれば、二次元のアダルトコンテンツにおいては同人作品が強く、ゆえにエロ同人ゲームも人気があるという。「今後大きな変化がなければ」と前置きはしていたが、上り調子なのは間違いないようだ。
また、A氏の経営哲学についても伺った。ゲーム開発者は内向的な人も少なくないが、A氏の場合は経営にコミュニケーションが欠かせないという。
「コミュニケーションは自分の武器なのでフル活用してます。」
エロ同人ゲームを制作するにしても黙々と作業するだけでなく、場合によってはプラットフォームの会社と話し合ったり、声優やプログラマーなどのクリエイターを集めるためにコミュニケーションが必要になってくる。ゆえに強みとして重要になるわけだ。
一方で、経営者としての心構えは特になく、楽しくやっていけているという。サークルの社員を食わせていくという大きな課題も、息を吸うかのようにできているそうだ。すでにマンションのレンタルスペースをはじめているように、今後はエロ同人ゲームのみならず、他業種・分野にも力を入れ、より商売の幅を広げることを考えているという。