実に面倒くさいことになっているのが、クレジットカード会社による「決済拒否」問題でありまして、同人マンガ界隈でも大変な騒動になっております。
カード会社の利用規約が大きく影響
問題の概要はシンプルで、クレジットカード会社が決済を行う商品やサービスについて、「こういう取引を行う場合は、お金を払うことを代行できませんよ」というブランド利用規約が仲介会社であるアクワイアラーと決済契約をしている店舗・サイトなどとの間で結ばれていることが発端です。まあ、うっかりカード決済で拳銃や麻薬などが取引されたら、カード会社もブランド価値の毀損待ったなしですので、こういう契約は当然と言えば当然と言えます。
なぜ表現規制問題が巻き込まれるのかというと、世界的に問題となっている児童ポルノや同意を伴わないセックスに関する描写、獣姦、腕脚などの切断を主とするゴア表現に関するコンテンツなども、カード会社の意向で決済をキャンセルできるよという条文が入っているのです。
この場合のカード会社とは、VISAカードやMastercard、JCBカードなどの各カード会社がブランドを立てて実際に決済仲介を行う各社を指します。これらの仕組みを使ってカード決済ができる加盟店を取りまとめているのがアクワイアラー、いろんなブランドでクレジットカードを発行しているのがイシュアーと呼ばれています。つまり、この決済の大元であるカード会社の利用規約が、一連の問題に大きく影響しているのです。
2018年夏ごろから続発はしていた
実は、性的表現や暴力表現の中身が問題であるとしてクレジットカード会社から決済を断られるという事例そのものは、2018年夏ごろから続発はしていました。
当時池袋や中野に店舗を構えていたDVD販売会社が、アクワイアラーより名指しで「カード会社から取引の中身に問題があるので、カード決済ができなくなるかもしれない」と通知を受けて、問題となったとされる商品の販売を控えるという事件がありました。
その後、この業界では立て続けにこれらのカード会社による決済拒否(決済BAN)が多発したものの、問題となりそうな決済は全体の取引のうちのわずかな部分だったため、これらの商品の販売を取りやめるか、現金決済や他のカードブランドのカード会社による決済にシフトすることで難を逃れていました。