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 ところが、そこから徐々に決済拒否を受ける頻度や、何が決済拒否の対象となる商品やサービスなのか、どのような検証方法でこれらの商品が問題の対象にされたのかが明らかになってくると、2020年頃から「これはヤバイ」ということで、店舗側各社で対策会議みたいなのが組まれるようになりました。

 中でも、アダルトビデオ界隈や同人誌界隈で割と一般的な表現とされていたものがどうやらNGであるらしいということが分かり、とりわけ「何とか殺人事件」とか「女子校生凌辱」などといった単語が含まれている商品は、積極的に取扱不可コンテンツと自動判別されているのではないかというぐらいにBANを食らうことが判明。さらには、取扱コンテンツの掲載サイトでのパッケージも判定されているのではないかという知見も出て、これらを「一般的に販売するにあたり、クレジットカード決済を行うことの店舗側リスク」として考える風潮が強くなりました。

DMMグループがMastercardによる取引から全面撤退

 カード決済は、商品を買う利用者にとっては手持ちの現金がなくても即座に買える便利なものです。一方、カードでモノを買われる加盟店は、店舗規模やアクワイアラーによって差はあるものの、概ね数%の加盟店手数料を売上に対して引かれた金額を決められた決済日に売上として入金されます。ところが、カード会社が取引を拒否した場合、すでに商品やサービスを売ってしまったにもかかわらず、これらの決済代金が売上として取扱店舗に振り込まれないことがあります。

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 もちろん、アクワイアラー側から保険や補償がある場合も多々ありますが、不適切な商品を販売したと決済拒否をされるときは、店舗側にもリスクがあることに変わりはありません。

 今年に入り、アダルトコンテンツ流通大手のFANZAを含むDMMグループが、世界的カードブランドの一角であるMastercardの取扱を中止すると発表して物議を醸しました。

 発端は、FANZAで流通するコンテンツの販売に対して、Mastercardが決済拒否の原因となった商品を明示せずFANZA全体を業者ごと決済拒否し、さらにDMMグループを決済できないとアクワイアラーである三井住友カードに通知をしてきたことでした。これにより、サイト利用者の利便性を考えて、決済できたりできなかったりするカードブランドとは取引が継続できないという理由で、DMMグループ側からMastercardによる取引から全面撤退するという判断を下したことになります。