水上で行うSUPヨガにもはまった
──ヨガも続けていて、9月にはティーチャーの資格も取るそうですね。
内澤 今はアシュタンガヨガを中心にやっています。アシュタンガヨガはポーズの流れが厳密に決まっていて、どこでレッスンを受けても同じと思ったのがきっかけです。水上で行うSUPヨガにもはまっていて、早くあたたかくなって海水温が上がらないかと思っているところです。9月には高松で3日間のアシュタンガヨガ指導者養成コースを受けることに決めたので、そこに向けて仕事も体調も整えないといけませんね。
──ヨガを続けていることで、精神的にも変化があったとか。
内澤 「くよくよ考えるのはとりあえず脇に置いておこう」と「一度忘れる」技術が身についたように思います。元気になったとはいえ、がんサバイバーであることも、乳房を失ったことも変わらないし、忘れているわけでもありませんが、いつもそれだけを考えていては心が苦しくなって、NK細胞が減っちゃうともったいないですから。
小豆島にジビエ料理を広げるプロジェクトを進行中
──昔のお写真を見ると、お顔つきが変わったような気が……。
内澤 そうですか? 大家族で暮らしているからでしょうか。
小豆島に移住してから、「カヨ」というヤギを飼い始めたんですが、これがまた超美形でかわいいんですよ。4匹の子ヤギにも恵まれ、今、ヤギたちの世話で忙しい毎日なんです。
わな猟免許と第一種銃猟免許も取得して、先輩たちから教わりながら、自分で猪や鹿を獲って解体をするようにもなり、今は極小の処理場を作って小豆島にジビエ料理を広げるプロジェクトも進めています。
ヨガのおかげで今まで生きてきた中で1番スタイルがよくなったし、こんなに幸せになると、それにしがみつくようになっちゃうのではないかと今度はそれが悩みの種ですね(笑)。
うちざわ・じゅんこ/1967年生まれ。文筆家、イラストレーター。日本・世界各国を歩き、屠畜、印刷、建築などさまざまなジャンルを取材したイラストルポを発表している。2011年に『身体のいいなり』で講談社エッセイ賞受賞。『センセイの書斎 イラストルポ「本」のある仕事場』『世界屠畜紀行』『捨てる女』『漂うままに島に着き』など著書多数。
写真=佐藤亘/文藝春秋