鼻、口、のどなどにできるがんを、総称して「頭頸部がん」と呼ぶ。他のがんに比べて多くはないが、のど(下咽頭や喉頭)のがんが進行して、喉頭を摘出する手術を受けると、これまで通り声を出せなくなる。どのような治療を受けることになるのだろうか。

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「頭頸部がん」という言葉を聞きなれない人が多いのではないだろうか。

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 医学的には、脳の下から鎖骨の上までを頭頸部と言う。その領域にできる悪性腫瘍の総称が頭頸部がんだ。

 できた場所によって多数の種類があり、代表的なものに喉頭がん、咽頭がん、口腔がん(舌がん等)、上顎洞がんなどがある。咽頭がんはさらに、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分かれる。

 頭頸部がんの患者数は他のがんに比べて多くない。国立がん研究センターが公表したデータによると、2016年の罹患者数は、口腔・咽頭がんが2万1700人、喉頭がんが5000人と予測されている。罹患者数1位の大腸がん(14万7200人)に比べると、口腔・咽頭がんと喉頭がんを合わせても約6分の1だ。

 だが、忌野清志郎さん(故人・喉頭がん)、坂本龍一さん(中咽頭がん)、つんく♂さん(喉頭がん)と、頭頸部がんにかかる有名人が相次ぎ、ファンに大きな衝撃を与えた。決して他人事の病気ではないと言えるだろう。

 とくに注意してほしいのが、タバコを吸う人だ。声帯のある喉頭は空気の通り道なので、タバコの影響をもろに受けるのだ。喉頭がんになった人の97%が喫煙者だとされている。タバコを吸う人にはぜひ、禁煙をおすすめしたい。

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