もはやポケモンはゲーム中心のシリーズではなくなる…?
なぜ、ビデオゲームのシリーズとして展開していたポケモンが映画に完敗してしまうような状況になっているのか。その理由のひとつとして、ゲーム業界の変化が考えられる。
これまで『ポケットモンスター』のゲーム作品は携帯ゲーム機向けに発売されていたが、Nintendo Switch以降は据え置き機向けとなっている。ゲーム業界に携帯ゲーム機市場自体がなくなりつつある現状、仕方のないことだが、ポケモンのゲームはどうもその変化についていけなくなってしまっているようだ。
ニンテンドー3DS『名探偵ピカチュウ』が発売されたときは、グラフィックに問題こそあれど低解像度のゲーム機なのでそこを気にする人は少なかった。しかしNintendo Switchともなれば大画面に映し出されるわけで、粗が目立つうえに要求される技術も増えてくるだろう。
同様に、昨今のポケモンシリーズには問題が多い。2021年発売の『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』は出来の悪さから、ユーザーから「まだリメイクは出ていない(すでに出ていることを認めないと表明するネットミーム)」と揶揄されるし、RPG版のシリーズ最新作となる『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』は、そもそもゲームが安定的に動作せず公式が謝罪を行うほどの問題を抱えていた。
すでに任天堂の次世代ゲーム機について噂が流れているが、当然ながらそれはNintendo Switchより性能の高いものだと言われている。よりスペックの高いゲーム機でポケモンの新作を出すことになれば、ゲームのポケモンの問題点がさらに吹き出してしまう可能性もあるのではないか──。そう不安になるのも無理はないだろう。
とはいえ、すべてのゲームが問題だらけというわけではない。2022年に発売された『Pokémon LEGENDS アルセウス』は、ゲームデザインこそ古さを感じさせるし制約も多いものの、新しいポケモンとしての可能性をそれなりに見せてくれた作品だ。
もっとも、こうも問題が多いビデオゲーム作品が続くと、「もはやポケモンはゲーム中心のシリーズではなくなるのではないか」という考えになるのもおかしくない。すでにポケモンカードゲームは爆発的な利益を生んでいるだろうし、映画やグッズといった他のコンテンツで十分に盛り上がるといえなくもないからだ。
はたしてポケモン制作側は、「ゲーム発のコンテンツ」という部分をどう捉えているのだろうか。単にグッズ・イベント展開のためにクオリティが低いビデオゲームを漫然と出し続けるだけなのか。あるいは、いまは時期が悪いだけでいずれビデオゲームとしても魅力的なものを作り出すのか。その答えは、今後登場する新作タイトルで明らかになるだろう。