コピペしたような花、カクカクの生け垣…
特に気になるのはグラフィックである。はっきりいって人間はどのキャラクターも印象に残らずマネキンのように見えてしまう。ポケモンはさすがにかわいらしく描けているのだが、ピカチュウ以外のポケモンはカメラが近づくと目や牙の表現がかなり簡略化されていることがわかってしまう。
背景のグラフィックは明らかに雑に見える場面が多く、コピペしたような花が並んでいたり、カクカクの生け垣などが目に入り気分が盛り下がることも多い。ポケモンの動きも画面暗転で見せなかったり(そもそもあまり描写する気がない)、同じ動きを高頻度で見ることが多い。世界の雰囲気を味わうゲームなので、グラフィックの問題はかなり苦しいといえる。
レビュー集積サイト「Metacritic」における評価はメディアのスコアが100点満点中66点、ユーザースコア10点中4.5点である。はっきりいって芳しい数値ではないし、日本が誇る超巨大IPの新作ゲームとしてはひどい仕上がりといえるだろう。
このように『帰ってきた 名探偵ピカチュウ』は「極めてカジュアルなゲームとしてはなんとか成り立っているが、それ以上のものではないゲーム」程度の内容であり、どうもユーザーにもそれを見透かされているようだ。
というのも本作、メルカリでは未開封のゲームソフトが2000円程度で売られているのだ(定価は税込みで6578円)。なぜかといえば、早期購入特典であるプロモカード目当ての人が大半で、ゲームのほうは投げ売りされているからである。なお、プロモカードはメルカリにおいて3500円以上で取引されており、もはや「ゲームがカードのおまけ」といえる状態だ。
現在、ポケモンのカードゲームは非常に高い価値が発生しており、さまざまな問題も招いている。ゴッホ美術館ではポケモンとのコラボを実施していたのだが、そこで配布・販売されているカードやグッズ目当てに大混乱が発生しているほどである。
もはや、ゲーム本体よりそれに付随するもののほうが価値を生み出しているわけだ。これは「ゲームそのものの魅力が劣っている」とすら解釈できてしまうだろう。