働いている女性が多くなった今、経済力を持つ女性も増えた。それによって、独身も結婚も離婚も、女性の心づもり次第で選択できるようになった。そんな今だからこそ、大人の女性のメンタルを知ることが、生きていくためのヒントにもなるのではないだろうか?
ここでは、恋愛小説の名手として知られる直木賞作家・唯川恵さんが、12人の女性のリアルな証言をもとに綴った『男と女 恋愛の落とし前』(新潮新書)より一部を抜粋。19歳のときに“出来ちゃった婚”で第1子を出産し、4児の母となった元ヤン妻・直子さん44歳。夫の浮気癖に悩む彼女は、なぜ離婚を選択しないのだろうか——。(全2回の2回目/1回目から続く)
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男が浮気を繰り返すワケ
懲りることなく、夫の浮気は続いた。
「そうなんです。もう、今まで何人の女と浮気したか……。町でナンパした子に、スナックの子、飲み屋で知り合った子、女子大生からOL、ホステス、店のママさん、今でも風俗はしょっちゅう通ってるし」
元々性的欲求が強く、それなりに金銭的余裕があり、浮気に対する罪悪感が薄く、女性と浮かれている状況に酔いやすい、という男の浮気癖は一生治らないと聞く。
男の言い分はこんな感じだろうか。
男には子孫繁栄本能がDNAに組み込まれている。
浮気はあくまで遊びであって本気ではないから問題ない。
浮気しているからこそ妻(もしくは恋人、パートナー)に優しくできる。家庭円満の秘訣でもある。
恋をしていないと仕事に張り合いがない、やる気になるために浮気は必要。
女が寄って来る。モテるのだからしょうがない。
が、もし女が同じことを言って浮気したとしたら、男は決して受け入れないだろう。
別れたら逆に相手の女の思う壺になる
「ほんと、見境ないんです。そのたびに大喧嘩になって、旦那が土下座して謝るっていうのを今も繰り返しています」
別れようと思ったことは?
「ああ、それはありません」
なぜ?
「だって、所詮、浮気ですから。そりゃあ腹は立ちますけど、よその女と付き合ったからって、そんなことくらいで別れるなんて考えたこともありません。だいたい、旦那がよその女に目が行くってことは、私の責任もあると思うし」
いや、ないと思う。その考え方はまさに男の思う壺である。
もしかしたら、自分のせいにすることで、傷つくのを少しでも緩和したいという思いがあるのだろうか。DVを受けている女性が「私が悪い」と思うことで、自分を納得させようとする心理に似ているような気もするが。
「でも、毎回ちゃんと謝ってくれるから、それを信じたくなるんです」