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――『ダビスタ』では、牧場長のコメントから「スピード、スタミナ、気性、勝負根性」を類推するわけですが、内部的にはほかにもパラメータがあるんですか?

薗部 そんなことないですよ。基本的にはその4つだけ。特殊スキルのようなものもありません。

――たったそれだけで、あのレースシーンの挙動が成り立っているんですか?

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薗部 パラメータを増やしても「結局どのパラメータがいちばん効いてるのか?」みたいな話になって違和感が残っちゃうんですよね。それならパラメータはシンプルにしておいて、その4つがどの場面で影響するか、っていうところを調整した方が面白いと思ったんです。

――データの効果もわからないし、そもそもゲーム内では種牡馬くらいしかデータが公開されていません。

薗部 当時は攻略本を作る出版社の人たちにデータを渡すのが一般的だったらしいんですが、『ダビスタ』は渡してませんでした。後から「そんなの『ダビスタ』くらいですよ」って言われちゃいましたけど(笑)。でも裏側を見せたら絶対におもしろくないですから。発売後も、ユーザーが異様な熱意をもって半年とか1年がかりでいろいろ検証し、攻略法を編み出していったので、そのスピード感に驚かされました。攻略本や雑誌を読んでいて「へえーそんな方法が!」って自分が感心することも多かったですよ。

「ダービースタリオン3」でも種牡馬だけはデータがみられるようになっていた

「ダートで調教したらスタミナが上がる、って変でしょう(笑)」

――『ダビスタ』のブレイク以降、競馬ゲームがたくさんリリースされました。そのことについてはどうお考えですか?

薗部 スピード、スタミナ、根性、気性みたいなパラメータを踏襲するゲームも多くて、それは変な気分でしたね。『ダビスタ』は実況パートから作って次に配合パートを作っていて、生産がメインのゲームなので実はレースや調教はかなり簡略化されているんです。「ダート、単走、強め」とかね。でも多くの競馬ゲームがそれを雛形として踏襲してしまった感はあります。ダートで調教したらスタミナが上がる、ってよく考えたら変でしょう(笑)。もうちょっといろんなバリエーションがでてきてほしい気持ちは正直ありますね。

――薗部さんは今もゲームをプレイしたりされるんですか?

薗部 シミュレーションゲームは今でも好きですね。最近だと『マインクラフト』。自由度が高くて「自分で遊び方を見つけてね」というタイプのゲームが好きなんです。いまはもう制作の現場からは引いているんですけど、ああいうジャンルのゲームを見ると自分でも作りたくなりますね。

 

――近年の競馬を題材にしたゲームだと、『ウマ娘 プリティーダービー』はとても人気になりました。

薗部 アニメはちょっと観たんですけど、実はゲームは触ってないんですよ。「『ダビスタ』と比べてどう?」って聞かれることはありますけど、違う切り口のゲームを比べるのは難しいですよね。ただ競馬場で感じるのは、『ウマ娘』で若い競馬ファンが増えたこと。新しいファン層が増えて昔の馬も知ってもらえるのはいいことですよね。