作詞するときに、必ず思い浮かぶもの
小田は「hello hello」をつくるにあたって、「三宅島のどこまでも続く白い道」を思い浮かべたと語っている。イメージの白い道だ。その道の彼方には夏の空が広がる。空と風。小田の歌には欠かせないものだ。そこに、小田の想像(創造)力の源があるのだなと感じる。実際、NHKの「100年インタビュー」で、それを問われ、「さあ、歌詞を書こうと思うと、必ず、とりあえず、空と風が浮かんでくるんだよね」と話している。さらに「空を見て、何かを感じるんですか?」と訊ねられ、こう答えている。
「何を感じてるんだろうねえ。いま見ている空が美しいっていうのもあるんだけど、前にもこういう空を見たんだろうなって思うんだろうね。あの日と同じようだけど、あの日といまとは違うんだって、そういうことを考えるタイプなんだよ」
「東京の空」に込めた思い
本来はノンタイアップで作った曲は5曲ある。
冒頭の曲は、1970年代のフォークシーンを思い出させるスリー・フィンガー奏法のギターで始まる「君のこと」。小田自身がギターを弾いている。そして「君」とは、若き日の友人たち、仲間たちのことだろう。
若い時に「幻想」なるタイトルの歌も作ったこともある同級生たち。そんな友人たちに、小田は「歌い続けてゆくからきっと 元気でいて 君がいないと つまんないから」と歌っている。若いころ好きだった音楽を改めて見直したような歌もある。ちょうどこのころ、小田は1970年代によく聴いていたキャロル・キングの来日公演に行っている。5番目の「誰れも どんなことも」はその影響が感じられる楽曲といわれる。
そしてアルバム「どーも」の最後を飾るのが「東京の空」だ。
2006年の「クリスマスの約束」用に作った曲である。2008年の全国ツアー時には、「ご当地紀行」の際に撮った各地の空の映像がモニターに流れるなか、小田のピアノのみで歌われ、人々の胸を打った。慰められているような、励まされているような、そんな歌である。
小田に、この歌について訊ねた時の問答は、こんな感じだった。